【『北方ジャーナル』記者の被災地ルポ(6)】地震発生翌日に出所の男性、支援者のもとへ
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北海道胆振東部地震が発生した日、札幌市西区の無職男性(51)は刑務所にいた。
「職員が廊下を走り回ってました。建物の被害はないようでしたが、私を含む受刑者は念のためバケツに水を汲んでおき、居室で待機。その日の入浴は中止になりました」
奇しくも刑期は同日で終了。翌7日午前8時半に“自由の身”となったが、福岡出身の男性には身寄りがない。幸い、服役前からやり取りがあった福祉関係者に出迎えにきてもらうことができ、西区のグループホーム(GH)に寝泊まりできるようになった。GHを運営する支援団体は男性を伴って区役所を訪問、生活保護を申請したが、区の保護課では地震対応で職員の手が回らず、支給決定には時間がかかりそうだ。その夜は、停電で明かりの消えたGHに身を横たえた。興奮でなかなか寝つけず、離れて暮らす娘のことなどを考えたという。
支援団体によると、今回の服役は知人女性への暴行で実刑判決を受けたため。「痴話げんかで、つい手が出たらしい。情状証人もいたんですが、初犯じゃなかったので実刑が決まってしまいました」と、関係者は振り返る。今年2月末から約半年間、東区の札幌刑務所で過ごすことになった。
刑務所暮らしは、暴力団に関わっていた若いころから何度も経験した。だが「こんなタイミングの社会復帰は初めて」。出所の翌日、近くのスーパーで日用品を調達しようとしたら、レジ待ちの列に30分間並ぶことになった。
「持病の薬を切らすわけにいかないので、月内には病院に行きたい。早く生活を立て直したいけど、時間はかかると思います」
GHの事務所にある食堂で牛丼の昼食を摂った後、スタッフに深く頭を下げて食器を丁寧に洗った彼は、午前中に入手できなかった生活用品を求めに街へ出た。
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