『脊振の自然に魅せられて』「ヨメナ」嫁菜 キク科 ヨメナ属
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秋を彩る花といえば田地ではヒガンバナ、野原ではキク科の植物であるヨメナでしょう。どこの野原でも見かける花ですが、よく観察すると実に可愛い花です。
ほかの植物と一緒に咲いていることもありますが、雑草とされている植物でもあります。10月初め、「もうそろそろ咲いている頃では」と思い、福岡市早良区椎原近くの湯の野のバス停から里山へ入ってみました。今年の豪雨被害を受けた場所でもあり、例年と幾分違った雰囲気でした。花は少なく、何となく寂しい里山歩きでした。ようやく見つけたヨメナを撮影、もっと可愛いヨメナはないかと車を移動させ空き地に停めました。
少し歩いてみてもう花はなさそうだと思い、引き返そうとした時、ふと上を見上げると崖の上にヨメナがほかの植物と一緒に咲いていました。坂道を歩き、草地を踏み分けて近づいてみます。たくさん咲くヨメナのなかに、ひときわ美しいヨメナが顔を覗かせていました。
まるで「私を撮って」と言っているように感じ、急いで重い三脚を広げ、カメラを固定します。レンズはマクロの90ミリ、絞りは解放値、ホワイトバランスを2つほど変更しシャッターを切ります。周りの草が見事に緑色のボケをつくり出しヨメナを引き立たせてくれました。「きれいだ!」久しぶりの感動を味わいました。撮影を終え車に戻ると、私の車の横に軽自動車が停まりました。時間は午前11時近くでした。「今から登るのですか」と声を掛けてみると、「いつも山をウロウロしています」という答えが返ってきました。
その人は早期退職し、その後は山三昧で、私の知らない脊振の杣道(そまみち)を歩いているとか。時には車で寝泊まりするらしく窓には網戸が付いていました。
私が自己紹介をすると貴重な花が咲いている場所を教えてくれました。普通、貴重な花のありかは、盗掘されるリスクがあるため誰彼構わず教えないものです。相手の電話番号を聞き、名刺が1枚財布のなかに残っていたので、それを渡しました。
山での貴重な出会いの日にもなりました。ヨメナの春の若葉はすべすべして、食べてもおいしいと植物図鑑に載っています。よく似た花にノコンギクがあります。ヨメナとの違いは葉の形と短毛があり、手触りがザラつくところだそうです。
湯の野の里山は小爪峠への登山口ですが、奥地は7月豪雨の土砂崩れで林道の半分が崩落していました。2018年10月10日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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