『脊振の自然に魅せられて』「レイジンソウ」伶人草 キンポウゲ科 トリカブト属
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9月末から10月中旬ごろ、沢ぞいの登山道に気品のある花が咲きます、レイジンソウです。
同じ仲間のトリカブトほど花は大きくはありません。花のかたちが似ていますが小ぶりです。色は薄紫のものもあれば少し白っぽい紫もあるなど様々です。キンポウゲの仲間ですから有毒種で、漢方薬などにも使われているようです。広辞苑に伶人とは雅楽の奏者のことだと載っています。植物関係の資料には雅楽奏者の頭の被りものをイメージしたとも書いてあります。なるほど、ピッタリな名前をつけたものだと感心しました。
9月中旬、花の撮影で行った沢沿いの登山道に小さなお花畑がありました。ここにレイジンソウが数本あり、木漏れ日が当たる場所で50cmほどの茎にいくつか蕾をつけていました。その蕾は撮影で何度も通うたびに少しずつ膨らんできました。シソ科の大きめの花、ツクシミカエリソウがレイジンソウのそばで満開になっていました。
レイジンソウも早く咲いてほしいと思います。しかし咲くタイミングは気温や日照時間などが関係しており、当然こちらの都合に合わせて咲いてはくれません。1週間後、「もうそろそろ咲いている頃では」と思い、糸島の別の渓谷に行ってみました。
すると、どうでしょう、たくさんのレイジンソウが私を迎えてくれました。早朝なので風もなく、撮影条件は最適でした。花全体、クローズアップ写真などアングルを変えて撮影。少し移動して姿形の良いものを見定めて撮影は終了しました。
しかし、満足した写真は撮れませんでした。花の先端部がシャープに撮れていないのです。何度試みても、好きな女性にそっぽを向かれたようにうまくいきません。一度そっぽを向かれてしまうと何度撮影を試みてもうまくいかないものです。数日後、仲間3人と佐賀県からの登山道に道標設置作業をしに行くと、沢沿いの山道に見事に群生している場所がありました。花に興味がある大学の先輩も感動していました。道標作業では撮影機材の準備をしていないので、翌日撮影に行くことにしました。
花との出会いは一期一会です。「撮影の機会を逃してはなるものか」と翌日早朝に家をでました。レイジンソウが咲いている場所に着き撮影準備をします。
木陰のため暗く、撮影条件はあまり良くありませんでしたが、アングルやレンズをあれこれ変えて1時間ほど撮影しました。
たくさんのレイジンソウの花たちに会えたことに満足し、「また来年会おうね」といつもの花への挨拶をして帰りました。
10月に入って山の気温も下がり、長時間の撮影で体が冷えましたが、沢の音が撮影で疲れた体を癒してくれました。脊振の山はだんだん秋が深まっていきます。
2018年10月15日記
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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