サムスンバイオロジクスによる粉飾会計の真実は?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
金融委員会傘下の証券先物委員会は11月14日、サムスンバイオロジクスが2015年に行った会計処理が粉飾会計に当たるという最終結論を出した。
同社は2015年、サムスンバイオエピスを子会社から関係会社にして、会計処理基準を持分法に変更している。会計基準を子会社から関係会社に変更すると、連結対象から外れるだけでなく、関係会社の価値が帳簿価格ではなく、時価で評価されることになり、株を保有している会社に大幅な資産価値増加がもたらされる。実際にサムスンバイオロジクスは今回の会計基準変更で、約4兆5,000億ウォンの利益を得ている。証券先物委員会は同社の会計基準の変更について問題視している。その結果、同委員会はサムスンバイオロジクスを検察に告訴し、代表取締役の解任勧告と、課徴金80億ウォンを課している。
今回の粉飾会計は、状況によっては、サムスングループの後継者への引き継ぎに影響をおよぼすだけでなく、現在進行中の朴謹恵前大統領の収賄関連裁判にも影響が出かねないと言われている。
なぜ今回の粉飾会計事件がサムスンの後継者への引き継ぎと朴前大統領の裁判に影響をおよぼすことになるのだろうか。
複雑に見える粉飾会計事件を整理してみよう。粉飾会計とは、不正な会計処理をして、企業の財務内容を実際より良く見せることだ。会社の実績が実際より良くなるように売上高の数字を高くしたり、実際かかった費用を少なくしたり、費用を計上しない行為などを指す。
銀行などでは、企業への融資を判断する際、その企業の財務諸表を見て、融資の可否を決定する。税務署も財務諸表をベースにして、いくら税金をかけるかを決める。また投資家もその企業の財務諸表で、投資するかどうかを判断する。財務諸表は、その企業の財務状態を吟味する際の重要な判断材料となるので、粉飾会計は質の悪い経済犯罪なのである。
サムスングループはバイオ産業をグループの未来事業として期待している。そこで2011年にバイオ医薬品の生産を手がけるサムスンバイオロジクスを設立し、その翌年には、米国のバイオ企業であるバイオジェンという企業と共同出資で、バイオ医薬品の研究開発企業であるサムスンバイオエピスを設立している。
バイオ産業は先行投資が多く、軌道に乗るまでに時間がかかる産業だ。サムスンバイオエピスも、ご多分に漏れず、設立後ずっと赤字が続いていた。ところが、2015年になって急に2兆ウォン近くの利益を出すようになった。
サムスンバイオロジクスは李副会長の持分が多く、第一毛織の子会社でもある。また、サムスンバイオロジクスはサムスンバイオエピスという子会社をもっている。言い換えれば、親会社は第一毛織で、その子会社はサムスンバイオロジクスで、その孫会社はサムスンバイオエピスなのである。3社は密接な関係にあり、そのなかの1社の価値が上昇すると、自然に別の会社の価値も上がる仕組みになっている。
(つづく)
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