『脊振の自然に魅せられて』「サネカズラ」実葛 マツブサ科
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晩秋、里山周辺で赤くて丸いサネカズラの実を見かけます。5ミリほどの赤い実をたくさん付けた木苺が大きくなったような植物の姿をイメージしてください。時にはピンポン玉ほどの大きさの実もなっています。
11月25日(日)、室見川水系一斉清掃に参加し、野河内渓谷を清掃しているとき、赤い実が1つ、孟宗竹の間にぶら下がっていました。久しぶりに見かけるサネカズラでした。
翌日「もっとかたちの良いサネカズラを」と、渓谷周辺を3時間あまり歩きました。「もう見つからないかな」とあきらめかけた時、最後に足を伸ばした神社の入り口に赤い実が下がっていました。「あったー!」ついにサネカズラと対面しました。よく観察すると赤い実をたくさんつけていました。サネカズラがあった神社は小さな川の対岸にあります。その川の石垣に自生していたのです。
小躍りしながら、サネカズラの撮影に入ります。慎重に小川の石の上に足を置き安定させ、頭上にある赤い実にカメラを向けます。苔がついている石は要注意です。うっかり足を乗せると滑って大怪我する可能性があるからです。
被写体は日光を受け、暗い顔でファインダーに写り込んできました。いわゆる逆光状態です。順光で接写も試みましたが、石の上に乗せた三脚が安定せず、納得いく撮影ができませんでした。「花の命は短くて」という言葉があります、花や植物の撮影は一期一会です。チャンスを逃してはなりません。3時間歩き、とても疲れていましたが、翌日もニコンの望遠レンズ数本とソニーのミラーレスカメラに装着する180ミリのマクロレンズを用意して再度撮影に訪れました。
久しぶりにドキドキ感を味わいながら、三脚の足を広げ、ニコンの一眼レフカメラをセットしました。するとその時、ゴトンという音がしました。10年間、大事に使ってきた一眼レフが三脚ごとアスファルトの上に倒れたのです。三脚の足の広げ方が足りず、不安定になっていたのです。
あわてて三脚に固定したカメラを拾い上げました。レンズフードはヒビ割れていましたが、カメラ本体は無事で、シャッター部分が、わずかに傷ついた程度でした。プラスチック製のレンズフードがカメラを守ってくれたのです。
疲れで集中力が散漫になっていたのでしょう。この一眼レフは、先月修理したばかりでした。危なかった。カメラに「ゴメンネ」と謝りました。今度はレンズを変えながら慎重に撮影します。三脚からアングルの変化に強い一脚にかえて撮影は終了。疲労困憊、執念の撮影でした。その後、居眠り運転しないように注意して帰宅しました。
サネカズラは別名、ビナンカズラ(美男葛)とも言われています。昔、つるから粘液をとって整髪料に使っていたことが名前の由来です。
2018年12月3日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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