【書評】すいません、ほぼ日の経営。 川島蓉子×糸井重里
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1970年代から80年代にかけてコピーライターブームを巻き起こし、現在は(株)ほぼ日の代表取締役である糸井重里氏に、伊藤忠ファッションシステム(株)の取締役でジャーナリストでもある川島蓉子氏がインタビュー。異色の会社「ほぼ日」の経営について疑問をぶつけていく。
ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」が始まって20年。その間に多くの読者を獲得し、雑貨や洋服などオリジナル商品の販売で成長を遂げてきた(株)ほぼ日。ロングセラー商品の「ほぼ日手帳」は2001年に発売され、年間80万冊近く売れるヒット商品だ。2017年3月にはジャスダックに上場をはたし、18年8月期の売上高は50億円を超えた。株式時価総額は130億円を上回る。
「手帳」に改良に改良を重ね、ユーザーを巻き込みながら新しい概念の商品へと進化させてきたことが成長の要因だが、言葉で表すほど簡単なことではない。根っから組織人である川島氏のインタビューで、不思議な魅力で「ほぼ日」ファンを獲得する糸井氏の人生観や仕事観、組織についての考え方がつまびらかにされる。常識にとらわれない柔軟な発想は、フリーのコピーライターとして、ほとんど組織に身を置いたことがなかったクリエイターならではだ。
テクノロジーの進化により、人間はAIやITとの棲み分けが必要になってきた。「人間にしかできない仕事とは何か」との問いに向き合う時代に入ったが、その答えを探る上で大いに参考になる本だ。物が溢れる時代、消費者の価値観も昔とは大きく変わっている。クリエイティブであることの大切さを思い知らされた。
【緒方 克美】
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