2024年11月23日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』「アリドオシ」 蟻通し アカネ科

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 鋭い棘をもった植物はたくさんありますが、小さな低木でありながら、体の大きさに似合わず長くて鋭い棘をもつのが「アリドオシ」です。晩秋から冬にかけ、薄暗い林のなかでひっそりと佇み、赤い実をつけています。
 脊振の自然観察会で森林インストラクターに教えてもらったのが、「アリドオシ」との初めての出会いでした。
 樹木の高さは20〜30cmほどで、棘の長さは1、2cmほどあります。
暗い林の中なので撮影するには光が足りません。ストロボを発光させれば済むことですが、植物本来の色が出ず、また葉肉が硬いので光に反射してしまいます。
椿が葉肉の厚い植物の代表です、葉が光に反射してテカテカと輝いています。

 撮影は光の反射を抑えるために偏向フィルターで調整します。フィルターのリングを回すと反射が抑えられます。水辺やショウウインドーの反射も偏向フィルターで調整します。
撮影にはもう一工夫必要で、光を取り入れるために反射版(レフ版)を使います。モデルの撮影やテレビドラマの撮影には大型のものを使っています。ですからモデルが輝いて見えるのです。私はアイスクリームなどを保冷する銀色の保冷シートを使っています。折りたためるし、地面や石の上に座るときにも重宝します。とくに雪の上に敷くと冷たくありません。
 この銀色のシートを使って花や実に柔らかい光をあてるのです。同時に偏向フィルターで反射を抑えます。このようは植物の撮影ではダブル作業が必要になります。
私は自然のままマニュアル撮影するのを信条としています。植物の気持ちになってカメラのシャッターを押すのです。

「アリドオシ」の撮影時、赤い実はカメラのファインダーに見えていますが、肝心の棘が葉に隠れて見えません。この時は「アリドオシ」に「ゴメンね」と謝り、不要な枝をハサミで切りました。

 薄暗い中、屈みこんでローアングルのピント合わせをしたので、どっと疲れが出てきます。50代の時はマクロ撮影にはアングルファインダー(拡大できるファインダー)をセットしてピント合わせをしましたが、加齢とともに面倒臭くなり、また目が疲れるので使わないようになりました。

 「一両」と呼ばれる生命力の強い「アリドオシ」の赤い実は正月の縁起物として重宝されているようです。

 「アリドオシ」の名前の由来は鋭い棘で蟻を刺す、鋭い棘の間を蟻しか通れないなどがあるようです。
 地域によっては絶滅危惧種に指定されている貴重な植物です。

赤い実をつけ鋭い棘をもつ「アリドオシ」

2018年12月17日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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