排泄予測デバイス「DFree」で実現する人の尊厳を大切にする介護へ(中)
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トリプル・ダブリュー・ジャパン(株) 代表取締役 中西 敦士 氏
介護の排泄予測のニーズとは
DFree(ディーフリー)は、「おむつ」という意味の英語の「Diaper(ダイパー)」の頭文字「D」と、「自由」「解放」という意味の英語の「Free」から名付けたという。その名前の由来の通り、前もって排泄のタイミングがわかることで予期していなかった「お漏らし」を防ぎ、「おむつから自由になる世界」の実現を目指している。ディーフリーを使用することにより、介護者が1人ひとりの排泄のタイミングがわかるようになるため、おむつの使用を減らしてトイレで排泄するという個人を尊重した排泄介助を可能にする。そして、自分でトイレで排泄できることは、生きる意欲の向上にもつながる。自分で排泄できることは人の前向きに生きたいという気持ちに直結しているため、人として精神的に豊かな生活を過ごせることにつながるのだ。
中西社長は、「何歳になっても精神的に豊かな生活を送るためには、孤独を感じることなく人との関わりをもって暮らせることが大切だ」と話す。たとえば、排泄機能の低下や尿意を感じにくいことにより、トイレに行くタイミングがわからずに外出先で漏らしてしまうのではないかという不安があると、外出や人との関わりを控えることもある。しかし、ディーフリーを使うことでそのような心配をすることなく、安心して外出や人との交流ができるようになるため、精神的に豊かな生活を送るためのサポートをしたいと考えているのだ。
また、いつ排尿が起こるかわからないという「見えないこと」や「わからないこと」は、人を不安にさせるものだ。中西社長は介護の現場に身を置くなかで、人は何歳になっても先のことがわからないという不安から解放されることはないという例を多く肌で感じたそうだ。中西社長は、「『見えないこと』や『わからないこと』をデータで見せたり、予測したりできるようにすることで、人は不安から解放されて人生や将来の計画を立てやすくなり、安心して暮らせるのではないか」と話す。
たとえば、介護者が食事介助を行う時に、本人の意思表示がない場面や少ない場面では、その人はどのくらいお腹が空いているのか、どのくらいの量を食べさせたら良いのかということを判断するのは難しい。もし、どのくらいお腹が空いているのかを知ることができる機器があれば、本人にちょうど良い量を食べさせることができて、健康にも良く介護者も食事の介助をしやすくなる。中西社長は、体や健康面の見えないものを「見える化」することで、今までわからなくて困っていた課題を解決できると考えており、将来的には排泄以外の生体データを生かした新規の製品開発も視野に入れている。
(つづく)
【取材・文・構成:石井 ゆかり】
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