2024年12月05日( 木 )

【政商・日建設計】と行政の結託(後)

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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

 豊洲市場の裁判における、被告東京都の隠蔽の姿勢、東京地裁の「審理に入らずに請求を棄却」しようとする姑息な対応を目の当たりにして、真面目に法律を遵守した者が馬鹿を見る現実を突きつけられる思いです。行政側には裁判所という権力で武装された「用心棒」が控えており、違法行為を消滅させてくれるのです。なんともありがたい国家ではありませんか!

 行政と結託した日建設計は、まさしく【政商】との噂どおりであると思わざるを得ません。行政と気脈を通じる日建設計は、たとえ法律を無視した設計の偽装を犯したとしても、行政と司法が 全面的にそのミスを擁護してくれる特別な存在です。大手の設計事務所や大手ゼネコンが 行政・司法に手厚く保護される 我が国独特の特殊な構図であると言わざるを得ません。

 権力を握る一部の組織が行う不正な行為に対して下される甘い判断を見逃してはならないとの思いで、私は勇気を奮い、一連の行動を起こす決意をしたものです。不正は不正として暴いていくことが私の技術者としての信念でもあります。

 日建設計が設計に関与した全国の物件について、豊洲市場と同様の設計偽装が存在することも十分に考えられます。場合によっては今後、偽装の有無を調査し、その実態を公表しなければならないと考えています。

 仮に、日建設計が「偽装物件は豊洲だけであり、ほかにはない」と断言するのであれば、それは一方で豊洲市場の建物が「意図的偽装行為」であったことを自ら認めたことになるので安直にそのような発言はしないと思われます。

 多くの国民が利用する公共施設であればなおさらのこと、安全性の確保は最優先事項です。長年に亘り建築構造に携わってきた者として、今回の豊洲市場を始め今後も引き続き建築構造に関する違法行為の是正を社会に向けて発進していかなければならないと思っています。

 違法行為に「民」や「官」に対する「裁判所」の区別はあってはなりません。違法は違法です。不正を犯せば 社会的にも公正に罰せられるべきです。
豊洲裁判における司法の「的外れな判断」などは、建築確認制度を真っ向から否定するものであり、悪質な業者に対する「免罪符」が与えられたようなものです。今回の豊洲の建物設計に対する裁判の経過は、権力をもつ側が何らかの意図の下に手抜きの設計・工事を恣意的に犯したとしても、法的には追求することができない「抜け道となるマジック」を目の前で見せつけられた思いです。

 裁判所が、設計事務所や施工業者に、「建物が法令・規準に違反していても 司法が問題を排除しますから、違反を気にせず 利益追求に励んでください。安全よりも利益が優先です!」とのお墨付き(お咎めなし)を与えたと受け止められても、不思議ではない現状と言わざるを得ません。

 今回、豊洲市場の裁判において露呈した、「司法と行政の癒着」の現状は、我が国の三権分立が事実上崩壊していることを物語る実例ともいえましょう。

 原告側が申し立てた「裁判官忌避」を受けて、裁判所が司法の使命を再認識し、公正な判断を示すことを期待します。日建設計と東京都は、建物構造の偽装を認め、速やかに是正措置を講じて、都民・国民に安心と信頼を与えるべきです。

(了)

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