福岡を活性化させた傑物伝 アパマングループ代表大村浩次氏(1)
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(一社)福岡県中小企業経営者協会連合会 会長 小林 専司 氏
勤勉・謙虚・情熱
2014年1月3日、セムグループの八頭司正典会長から「ぜひとも小林さんに会ってほしい人物がいる」と連絡があり、日航ホテルに行きました。その会ってほしいという人物が、大村浩次さんだったのです。誰もが知るアパマングループのリーダーであることは存じておりましたが、お会いしたのは、この日が初めてでした。当時48歳だったと記憶しております。
大村さんはとても礼儀正しく、謙虚に丁寧な言葉で話されておりました。そのうえで、仕事に対する熱き情熱と研究心を常にもち続け、現状に甘んじることなく進化・発展し続けるために、ご自身で勉強を続けながら経営のトップで采配を振るっております。
そんな大村さんとお会いしたのは、当時、存続の危機に陥っていたアビスパ福岡に対して、手を差し伸べることについてでした。
私は「かなり厳しいし、苦労しますよ」と内心思っていました。それでも大村さんは、「私の故郷は福岡です。今は東京が拠点ですが、創業の地は生まれ育った福岡です。その福岡で愛されているアビスパ福岡が苦しんでいるなら、微力ですが力になりたいです」と申し出ていただきました。
その後、1月10日から毎週大村さんと会い、今後についての協議を重ねました。当時、地元の有力企業がスポンサーから離れる中、本当にがけっぷちの状況だったアビスパ福岡の力になって再建に手を差し伸べたいという情熱が、大村さんの話す言葉からひしひしと感じられました。私も長年会社を経営しており、さまざまな経営者との出会いがありますが、これほどまでに熱き想いで行動する人物は初めてです。損得勘定を抜きに、地域の発展のために貢献したいという情熱がひしひしと伝わってきます。私は、「大村さんは本物の経営者だ」と確信しました。
常に学ぶ姿勢
大村さんは、その年の夏にアビスパ福岡への支援を表明し、資本を投下しました。大村さんの懐刀である川森敬史さんを新たなアビスパ福岡の社長に抜擢し、再建に乗り出したのです。
アビスパ福岡へのサポートを表明するまでの間、大村さん自身は何をしていたのか?まずは、スペインのリーガエスパニョーラの強豪、FCバルセロナに行き、同クラブとスポンサー契約を締結しました。さらには、スポーツビジネスについて学ぶためにMLBのボストンレッドソックスを訪問していたのです。FCバルセロナでも同様です。
その時期に、大村さんを福岡地所の榎本一彦会長にお引き合わせいたしました。榎本会長と大村さんは面識がなかったのですが、同じ不動産業界で榎本会長は大村さんの活躍ぶりを存じておりました。そして私に話したように、自身の熱い想いを榎本会長に話しておりました。榎本会長もすっかり大村さんのファンになり、「一緒にアビスパ福岡を支えましょう」となったのです。
それから、榎本会長、大村さんと私、ほかの支援者数名とで、毎月1日に『カレーの日』と称して、昼食にカレーを一緒に食べながら、アビスパ福岡のこれからについて具体的な意見交換を行いました。
アビスパ福岡の支援については、大村さん本人からではありませんが、「正月に帰省した際に、大村さんの親戚のお子さんから“おじちゃん、アビスパ福岡を助けて”と言われたことが、きっかけである」と関係者から聞きました。大村さんらしいエピソードです。
現在まで、アパマンという名称がアビスパのスポンサーの前面に出たことは一度もありません。おそらくアパマングループが一番資金を投入しているにも関わらず。一切、意に介さないのが大村さんという人物なのです。
いつも笑顔で温和
大村さんは仕事においてもハードワーカーです。東京と福岡の往復など当たり前。場合によっては、2往復する日もあります。
ある日、盛和塾での先輩である前述した八頭司会長に、大村さんが「“12時”に会えますか?」と聞いてきたそうです。八頭司会長は、てっきり「お昼ご飯でも一緒に食べながら話すのかな」と思っていたようですが、大村さんは「いえ八頭司会長、深夜0時です」と切り返したといいます。八頭司会長は苦笑しながらも深夜0時に会ったといいます。こうしたエピソードは大村さんの勤勉さ、真面目さ、誠実さ、礼儀正しさ、そして思慮深を表しており、皆「大村さんを応援したい」という風になっていくのです。私もその1人です。
おそらく大村さんは、ほとんど寝ていないでしょう。移動の飛行機のなかで、しばしの休息を取っているようです。大村さんの飛行機の搭乗回数は、今は年間300回くらいだと本人が言っております。ピーク時は600回だったそうです。だから、福岡に泊まるのは年間で5日程度です。常に仕事と移動の連続で、相当な疲れがあるにも関わらず、疲れた表情を一切しません。いつも笑顔で温和な表情を浮かべています。
大村さんは、年齢や地位など関係なく、誰にでも“さん”をつけて敬語で話します。なかなかできることではありません。
毎日ハードワークをしている大村さんは、健康維持のためにボクシングをはじめました。私は若き日ボクサーでした。時々、大村さんからボクシングをしている映像が送られてきます。日増しに上手になっております。本当に勤勉な方なので、健康だけには気をつけていただき、さらなるご活躍を心から祈るのみです。
法人名
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