対立軸は「金権主義者」と「社会を大事にする人たち」!
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原発ゼロ自然エネルギー推進連盟会長 吉原 毅氏
2月12日(水)、午後6時45分から9時まで、神宮前「東京ウィメンズプラザ」において「グローバル経済社会研究所」第19回フォーラム(主催:NPOアクティブミドル国際協会)が開催された。講師は吉原毅・原発ゼロ自然エネルギー推進連盟会長(元城南信用金庫理事長)、演題は「新エネルギーのこれから~自然エネルギーは儲かるが世界の常識~」であった。
原発ゼロ自然エネルギー推進連盟では、原子力撤廃を標榜し、太陽光発電などクリーンエネルギーの導入を推進、2018年1月には「原発ゼロ自然エネルギー推進基本法案」を発表している。吉原氏は歯に衣を着せぬ物言いで政府や東京電力などに迫り、この問題の対立軸は、決して思想・信条の左右ではなく、「金権主義者」と「社会を大事にする人たち」であると喝破した。汚染進行地域は福島だけでなく東京を含む東日本全域
福島原発事故発生から約8年が経過しようとしている。しかし、原発事故収束はままならず、今も放射能の放出が続き、避難生活者も5万人を超えている。汚染進行地域は福島だけでなく東京を含む東日本全域といわれる。親日といわれる台湾でさえも「関東(福島・茨城・栃木・群馬・千葉)の農産物は輸入禁止」となっている。一方、高まるエネルギー政策転換を願う国民の声は無視され、安倍政権は原発を推進しようとしている。危険でかつ横軸(現時点で)で考えても、縦軸(将来的に)で考えても経済効率が悪い「原発」をなぜそれほどまでに推進しようとするのか?
上場会社はろくでもない欠陥だらけのシステムである
吉原毅氏は「アダム・スミスが『国富論』のなかで指摘しているように、上場会社というのは“ろくでもない”欠陥だらけのシステムです」と話はじめた。会社というのは元来、人は1人では仕事ができないので、協同して目的を達成するためにできた組織である。パン屋であれば、材料を仕入れる人、パンをつくる人、パンを売る人などが皆協力し合い、コミュニティの全員がハッピーになるように構成されていた。しかし、上場会社では、それら利害関係者たちのうえに、「会社」を金儲けの手段と考える資本家が現れた。経営者はコミュニティではなく資本家の方を向き、「利益」の追求だけを考え、会社は反社会的なシステムに変貌した。その結果、貧富の格差が拡大、公害問題も発生、市民生活や環境が破壊され人間も劣化した。今日多くの資本家は「今だけ、金だけ、自分だけ」と考えている。
ロスチャイルドはキューリー夫人のスポンサーだった
吉原氏は「約300年前のワーテルローの戦い(1815年)でナポレオンが敗れた時、イギリスのロスチャイルド家はシティにおける戦争金融で大儲けをして、ヨーロッパ最大の財閥となった」と続けた。金融力・海軍力・情報力を柱にしたイギリスのグローバリゼーションの始まりである。さらに、吉原氏は「明治維新」は薩長の政治家・官僚が加担した「イギリス帝国主義の日本支配の始まりである」と喝破した。
ロスチャイルド家はラジウム、ポロニウムを発見したキューリー夫人のスポンサーであり、夫人死後には、原爆をつくることをアメリカとナチス・ドイツにもちかけた史実も明らかにした。
原発の目的が「平和利用」というのは真っ赤な嘘で本当の目的は金儲けである。日本ではCIAのエージェントともいわれる原子力の父・正力松太郎氏と中曽根康弘元総理が中心となり、ゼネコン、鉄鋼会社も結託して「やめられない、とまらない」と大儲けをした、と続けた。
原発単価は火力、水力を超え、無限大になる可能性も
吉原氏は「これまで国は原発の発電単価の安さを強調してきました。しかし、そこには数字のトリックがあり、設備稼働率や耐用年数、原発実地への財政支出、さらには放射能廃棄物の処理などのバックエンド費用を含めると、発電単価は火力、水力を超え、無限大になる可能性さえあります」と語る。今や、「原発は儲からず、自然エネルギーは儲かるが世界の常識」となっている。放射能が人体に影響のないレベルに減るまでには約10万年かかり、地震多発地帯である日本には地層処理を行える場所はない。世界的に見ても現在可能性のあるのはフィンランドの施設「オンカロ」だけである。
今後世界のまともな企業はRE100を目指すことになる
吉原氏は「今後世界のまともな企業はRE100(事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄う)を目指すことになる」と語った。すでに、RE100には、Google、ネスレ、イケアなど世界のトップ企業150社以上が加盟、城南信用金庫も加盟した事実を披露した。日本は自然エネルギーが豊富で、今話題の太陽光発電「ソーラーシェアリング」(農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備などの発電設備を設置し、農業と発電事業を同時に行う)も日本発の技術であり、農家の収入が10倍になる可能性を秘めている。そして、太陽光に加えて、水力(全電力の約10%)においても容易に20%にできることを付け加えた。最後に、原発ゼロでも十分に電力は足り、そればかりか「原発ゼロでこそ、日本経済は再生する」と結んだ。
【金木 亮憲】
<プロフィール>
吉原 毅(よしわら・つよし)
1955年東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部を卒業後、城南信用金庫に入職。96年41歳で常務理事となり、2010年理事長に就任。ともに助け合う協同組織である信用金庫の原点回帰を打ち出し、理事長の年収を支店長の平均以下である1,200万円、全役員の定年60歳、現場による経営計画の策定など、異色の改革を行っている。2011年4月1日には、「原発に頼らない安心できる社会へ」を発表。職員による被災地支援も続けている。著書に、『信用金庫の力―人をつなぐ、地域を守る』(岩波書店)、『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(クレヨンハウス)、『原発ゼロで日本経済は再生する』(角川学芸出版)、『幸せになる金融 信用金庫は社会貢献』(神奈川新聞社)、『世界の常識は日本の非常識 自然エネは儲かる!』(講談社)など多数。関連記事
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