許可取消の運輸会社 福岡の関連会社利用し、処分逃れか
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幹線輸送大手の西部運輸グループで、千葉県を本拠に7拠点を展開する関東西部運輸(株)は4月8日、国交省関東運輸局から貨物自動車運送事業許可の取消処分を受けた。違法な長時間労働などで再三に渡る事業停止命令を受けていたが、改善されなかったため。同社は関連会社に千葉支店を開設させるなどして、「処分逃れ」とも取れる行為を行っている。
全国の運輸会社8社で構成される西部運輸グループの1社である関東西部運輸は千葉に本拠を置き、7営業所を展開している。4月8日に国交省関東運輸局が発表したのは、同社に対する自動車運送業の許可取消処分。同局が1月に同社本社を監査したところ、ドライバーの乗務時間の遵守違反など5つの貨物自動車運送事業法違反が判明。違反点数が加点され、許可の取消処分に該当する基準を上回ったため、今回の事態となった。同局安全管理室によると、4月22日をもって許可を取り消す。経営体制の一新がない限り、2年間は許可を与えないという。
同社をめぐっては、ここ2年の間に違法な長時間労働などで労基署から2度の書類送検、関東運輸局から昨年7月と12月に期限付きの事業停止処分を受けていた。度重なる指導にも関わらず、改善が見られなかったことを重く見た国交省が厳罰を下したとみられる。
取消処分を想定してか、昨年末、同グループの九州西部運輸(株)(福岡県小郡市)が関東西部運輸本社敷地内に「千葉支店」の開設許可を申請。すでに支店の開設許可は下りているという。事業継続のための策ではあるが、第三者からみれば、「処分逃れ」と取られても仕方がない状況にある。関東運輸局は「申請があれば、基準に則って審査する」とし、ほかのグループ会社が同様の申請をしても、受付拒否ができないのが現状のようだ。ただし、これがまかり通るようなら、労働環境の改善は望めない。
関東西部運輸は1990年2月に設立され、関東圏を中心に配送業務を担当している。グループ本体に並ぶ幹線輸送を担い、保有する車両は374台。ヤマト運輸や日本通運、西濃運輸など大手路線会社の下請業務を行っており、近年、売上高は安定推移している。昨今のドライバー不足の影響を受けたためか、直近は利益確保が厳しい状況であるが、これは同社に限ったことではなく、業界全体の傾向でもある。
【東城 洋平】
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