私的リーダー論(前)
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大さんのシニアリポート第78回
リーダー論といっても、啓蒙書や啓発書に出てくるリーダー像ではなく、あくまで私が個人的に運営する「サロン幸福亭ぐるり」(以下「ぐるり」)での話である。私を含めてスタッフが3名という極小組織ではあるが、〝地域”というエリアを〝商圏”(運営資金を動かしているため)と考えた場合、「リーダー像」の意味するところは大きいと思う。リーダーの資質如何では、組織そのものが苦境に立たされる。「商売としてではなく、あくまでもボランティアだから」と考えるべきではない。商売もボランティアも、「組織をいかす」という意味では同じだ。
リーダーは営業マンであり、ネットワークを広げる〝顔“ともなる
組織を運営するためには(金額の多寡は別として)、運営資金を必要とする。「ぐるり」は年間約80万円で運営している。内訳はURの貸店舗の家賃代(共益費込み)と光熱費代で月5万円。年間最低60万円かかる。社会福祉協議会からの公的な援助が年間20万円。私個人に支払われる市からの援助金が年間96,000円。合わせて29万6,000円。家賃代の半分にも満たない。ここで重要なのが、「入亭料」として1人100円(飲み物無料)。一月平均延べ250人利用者があるので、月25,000円。年間30万円になる。社協からの補助金受給の条件は、「最低月2回開催」である。
しかしこれでは年間数万円にしかならない。「『ぐるり』は年中無休だからすばらしい」という評価をいただく。「居場所は来亭者が行きたいときに開いているものだから当然のこと」と公言してはばからないが、本音は「日銭が欲しいから」である。毎日開けないと家賃も支払えない。
このほかにも出費がかさむ。飲みもの(日本茶葉、コーヒー、冷たい飲みものなど)、菓子類などの購入資金。チラシの用紙、印刷代、切手代。各種イベント(講演会、忘年会、芋煮会など)代、加えてエアコン、冷蔵庫、照明、カラオケ(本体、モニター、マイク、スピーカーなど)のメンテナンス代もかかる。トイレの故障も自腹となる。これに対応する「予備費」は常に準備しておかなくてはならない。不足分は寄付を募る。
ここで必要になるのが、リーダーとしての〝顔”、つまり営業マンとしての顔である。私の場合は「ノンフィクション作家」という肩書きがあり、実に少数だが全国に私のファンがいる。小学校から大学までの友人がいる。仕事上の仲間がいる。彼らからのカンパが年間10万円以上、常連客からのカンパなど。そのためにできるだけ会合に出席し、ネットワークを広げる。それでも足りない。そこは自腹となる。
(つづく)
<プロフィール>
大山眞人(おおやま まひと)
1944年山形市生まれ。早大卒。出版社勤務ののち、ノンフィクション作家。主な著作に、『S病院老人病棟の仲間たち』『取締役宝くじ部長』(文藝春秋)『老いてこそ二人で生きたい』『夢のある「終の棲家」を作りたい』(大和書房)『退学者ゼロ高校 須郷昌徳の「これが教育たい!」』(河出書房新社)『克って勝つー田村亮子を育てた男』(自由現代社)『取締役総務部長 奈良坂龍平』(讀賣新聞社)『悪徳商法』(文春新書)『団地が死んでいく』(平凡社新書)『騙されたがる人たち』(近著・講談社)など。関連キーワード
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