入場料のある本屋「文喫」、アマゾンとの差別化は“検索しない”本探し(前)
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どんな本でもネットで買える時代。でも本屋好きは、本屋にいくことをやめられない。何かを探すでもなく、なんとなく本屋に行って、思いがけなく面白い本にハマってしまうことがあるからだ。だから、なんとなく行っても楽しい発見があるのが本屋の楽しみ方だと思っている。知らなかったことを知って、見たことがない世界のすきまを見る。本屋に行くことは小さな冒険のようだ。
「リアル」にこだわる本屋
入場料のある本屋・文喫(ぶんきつ)は東京・六本木の青山ブックセンターがあった場所に昨年末にできた本屋だ。ネットではない「リアル」にこだわる文喫はいままでの書店となにが違うのか、文喫に行ってみることにした。
こちらが文喫だ。本3万冊をそろえた、本と出会うための本屋で、お茶やコーヒーを飲みながら本を選べる。お店は午後11時まで開いていてお酒も飲めるから、夜に立ち寄ってみても楽しいかもしれない。
早速お店のなかに入ってみる
お店に入ると、壁一面に最新号の雑誌がならぶコーナーがあった。
カウンターで受付をして奥の階段をのぼると、そこは本が一面にならぶ世界だった。「本屋にきた!」と思う瞬間だ。
パイプ好きの心をのせた天秤は?
本棚の奥には、タバコの本がのっている天秤がある。大好きなパイプタバコを極めた人たちが思いを語る『パイプ随筆』の反対がわの皿には、『禁煙セラピー』の本。『禁煙セラピー』の表紙には “読むだけで絶対やめられる”とあるが、わかってはいても人は誘惑に弱いのか。心の天秤は、『パイプ随筆』のほうにゆれている。
本だからこそ見える世界がある
本棚には、今まで本屋で見たことがないマニアックな本がたくさんそろっている。気になったのは、『サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで』。『改造動物の最前線』の帯には、“リモコン操作できるラット、緑色に発光するネコ、製薬工場と化したヤギ・・・”とある。いったいどんな現実になっているのか、興味しんしんだ。ふだん暮らしているだけではわからない世界に素人でもリーチできるのは、本ならではの強みだ。「入場料のある本屋で、スタッフが店に置きたいという本を選んで買いとっているからこそ、売れ筋に左右されずにマニアックな本もたくさん並べられる」と文喫六本木の店長・伊藤晃氏はいう。
平積みも1冊1冊ちがう本
ふつうは売れ筋の本が置いてある平積みのコーナーを見てみた。ヘンリー・ソローのエッセイ『歩く』や村田ラムの『樹海考』などがあった。『樹海考』の帯には、“人はなぜ「樹海」に惹かれるのか”とある。「歩く」ことつながりで、本を選んだスタッフの「こんなところに行ったらどう?」という声が聞こえてきそうだ。ちなみに筆者は富士の樹海のことが子どものころから気になってはいるが、まだ行ったことがない。樹海に入ったら帰れなくなるという話を信じているからだ。
並んでいるのはふつうの本ではない
旅好きならだれもが本屋で手にする外国旅行ガイドの「地球の歩き方」シリーズ。文喫でも旅のコーナーにあった。しかし、置いてあるのはアジアやヨーロッパなどのふつうの旅行ガイドではなく初めて見る『南極大陸 完全旅行ガイド』だった。南極大陸のガイド本が出ていたのかと驚くが、へき地好きとしては本当に一般人が旅行できるのか、ととても気になる。となりに喫茶室があるので、抹茶ラテを飲みながら本を開いてみることにした。
(つづく)
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文喫HP<プロフィール>
石井 ゆかり(いしい ゆかり)
みどりの宇宙(株) 経営コンサルタント。筑波大学卒業。京都大学農学研究科修士課程修了。ヘルスケア関連メーカーに勤務後、人の健康と企業の発展に貢献したいという想いから、経営コンサルタントとして中小企業の経営支援を行っている。関連記事
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