2024年12月26日( 木 )

『脊振の自然に魅せられて』「道標設置事業」~いよいよ本格的な設置が始まった

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 2008年10月18日(土) 一度に2ルートの作業を行うことに。

(1)佐賀県の金山・脊振林道から金山山頂―坊主が滝ルート

(2)花乱の滝登山口―金山山頂ルート グリークラブOBグループ

(3)花乱の滝登山口―金山山頂ルート T先輩グループ

 合計3グループによる作業である。

 道標設置作業には主力となる私の後輩である西南学院大学ワンダーフォーゲル部の学生たちの力が欠かせない。当日、学生たちの集合場所を大学の体育館前にして、私を含むOB3人の車を集結させた。OB3人とはワンゲルの先輩Tと後輩になるAである。

グリークラブOBグループ 花乱の滝登山口
同期のよしみで応援にきてくれた

 後輩Aは私の写真集「脊振讃歌」をいち早く購入してくれたメール友だちで、今回が初対面でもあった。気さくなTは学生に打ち解け温和な人であった。

 集合時間の8時30分前に学生たちは三々五々、体育館前に集合していた。主将のHがリーダーシップを発揮して部員をまとめてくれた。集合時間になっても1人の女子学生がきていない、主将のHに彼女の携帯電話に連絡を入れさせた。すると「いま、室見川の橋を自転車でわたっています」との返事。今どきの学生なのか…、私は唖然とし、落胆した。今日という大事な時に…(この女子大生は後日頼りになるメンバーとなる)。

 10分遅れでようやく全員が集合、学生たちを乗せてメンバーの集合場所である早良区大門の森林組合の駐車場へ車3台で向かった。森林組合の駐車場に2グループが集合し、簡単な朝礼を行い、作業図を配った。総勢15人ほどであった。

 隣にあるJAワッキー名物の鶏飯弁当をメンバーに手渡し、それぞれ道標のパーツ、支柱やスコップなどの道具を車におしこんで作業現場へと向かった。

 国道263号線の曲渕ダムから三瀬トンネルまで2グループの方向は同じである。途中で弁当を1個手渡してないことに気づき途中で手渡した。初日でバタバタしていたせいもあった。

 花乱の滝作業グループとも別れ、旧国道263号の三瀬峠超えで金山・脊振林道に入った。この林道に山中地蔵を起点とする金山山頂(967m)への登山口がある。ここから金山山頂―福岡県側の登山道へ下るルートに道標を6本設置する計画である。

 この日の1本目は林道沿いの金山山頂登山口で、土も柔らかく作業は30分ほどの短時間で終了できた。「よっしゃー」という歓声があがる。

 ここから荷揚げ作業が始まった。支柱を1本ずつ肩に担いで登山道を登るのである。こうした作業に慣れていないワンゲルの男子学生たちは支柱が不安定で、バランスが悪かった。「大丈夫かな」と思うほどであった。

支柱を担ぐ後輩のワンゲル部員たち

 一方、大人たちは肩に物を担ぐ作業には慣れていた。私の子どものころは天秤棒や炭俵、米俵などを担ぐのは日常茶飯事であったし、運動会でもこうした競争をしていた。

 2本目は三瀬峠から金山山頂の縦走路で、金山直下の水場であった。ここも土が柔らかく2本目同様、短時間で終了できた。「順調バイ!」私はメンバーに声をかけた。

 この日の作業に助っ人がきてくれていた。2年後輩で工務店経営のYが職人を1人連れてきてくれたのだ。プロの技とプロの道具によって瞬く間に作業が終了した。また、ワンゲルの1年後輩のHも駆けつけてくれた。私は思わぬ助っ人たちの登場に感動した。Hは私がワンゲル3年時の九州横断の春合宿で、サブリーダーを務めた頼り甲斐のある後輩だ。

 3本目は金山山頂まで5分の地に設置、脊振山方面からの登山道と金山山頂、三瀬峠方面への分岐点である。

 ここは江戸時代に佐賀藩の番所があった場所で、佐賀と福岡の往来を厳しく取り締まっていたと、この場所に立てられた説明板に書かれている。

 支柱の穴掘りには多少時間がかかった。道標は3枚、小爪峠50分、あご坂峠35分、金山山頂5分である。工務店のプロが持参した強力な電動ドライバーがボルトを短時間で締め上げてくれた。女子大生もドライバーを使って楽しそうに作業した。

電動ドライバーを操作する女子学生

 当日、最も時間を要した3本目の作業も終わり、ここから5分の金山山頂で昼食をとる。JAワッキー名物の鶏飯をそれぞれが頰張った。しばしの休憩である。しばらくすると後輩Bの帽子の庇に1匹の蝶が止まった。ジッとしてしばらく動かない。

蝶が遊びにきた

 汗の塩分を補給しているのだろう。昆虫に詳しいTは「ヒョウモンです」と教えてくれた。この時、私は、本日の作業が終了してからのことを考えていた。車4台は佐賀県側の林道に止めている。作業が終わるのは福岡県側の坊主が滝登山口である。ここから山越えして車を取りに戻るには3時間はかかかり、着くころには日が暮れている。私は「学生たちをどう送り届けるか」を考えていたのである。

 休憩が終わり、次の作業の坊主が滝登山口方面へ下り始めた。私はこの不安を後輩のTに話すと「私が今から佐賀県の林道へ戻って坊主が滝登山口に車を廻します」と言い、今まで作業をした登山道を戻って行った。

 これで一安心である。残り2本の作業を終えて坊主が滝登山口へ降りてきた。

 車を取りに戻ってくれたTが冷たいお茶を用意して待ってくれていた。彼とはメールで交流があるものの、今日が初対面。それにもかかわらず、頭が下がる思いだった。

 学生たちに国道263号の多々良瀬バス停で我々の車を待つようにと指示し、Tの車で佐賀県の林道へ車3台を取りに戻った。

 そして学生をバス停で拾い、大学へ送り届けてもらった。私は別グループの作業を見届けるため、朝の集合場所である森林組合駐車場へ戻った。

 そこには、1本の支柱が残されていた。道標のパーツ不足のため作業ができなかったのである。この仕分けをしたのは区役所のNで、数が多かったためパーツが不足したのである。こうしたハプニング続きの1日が終了し、合計13本の設置が完了した。

道標を設置完了し喜ぶワンゲル部員

(次号へ続く)

2019年6月2日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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