突如、コクヨが、ぺんてるの“筆頭株主”になったワケ~根底にはぺんてるの創業家と経営陣のお家騒動が(前)
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コクヨの「キャンパスノート」、ぺんてるの水性ボールペン「エナージェル」は、学生から愛用されている文具だ。コクヨが突如、ぺんてるの“筆頭株主”に躍り出たことから、ぺんてるが猛反発。文具業界でもち上がったM&Aの成り行きに注目が集まっている。
コクヨはファンドを通じてぺんてる株を間接保有
事務用品最大手のコクヨ(東証一部)は5月10日、筆記具大手のぺんてる(東京都中央区、非上場)に出資したと発表した。ぺんてるの発行済み株式の37.45%をもつ投資ファンドを通じて、間接的に保有する。
ぺんてるの筆頭株主は、投資会社マーキュリアインベストメント(東証一部)が運用するファンド「PI投資事業有限責任組合」。コクヨはファンドに101億円を出資。ファンドを介して、ぺんてるの事実上の筆頭株主となった。
コクヨは文具で国内最大手だが、人口減少やペーパーレスで旧来の文具の国内需要は減少が見込まれる。そのため「海外売上高比率を2010年度の3%から20年度には30%以上に高める」計画だった。
昨年11月に発表した中期経営計画では、海外売上比率30%以上とした当初の計画を大幅に修正。文具事業は海外事業を強化し、17年12月期に7%だった海外売上比率を10%程度に高めるとした。コクヨの2018年12月期の連結売上高は3,151億円。文具関連売上高のうち、海外は2割程度にとどまる。
一方、ぺんてるの2018年3月期の連結売上高は409億円。欧州やアジアに海外22カ所の販売拠点を通じ、120以上の国と地域で展開。海外売上比率は65.3%におよぶ。
コクヨがぺんてるを狙った理由は明快だ。出遅れている海外事業の強化だ。また、コクヨはノートなど紙製品に強く、ぺんてるは筆記具が強いので製品重複も少ない。
マーキュリアは日本政策投資銀行が24.5%出資する中堅の投資会社。18年3月に傘下のファンドが、ぺんてる創業家の堀江圭馬前社長から持ち株を取得、37.45%を保有する筆頭株主となった。文房具やオフィス家具の大手であるコクヨと筆記具大手のぺんてるが組むことで、相乗効果が大きくなると判断。ぺんてる株をコクヨに譲渡した。
だが、ぺんてるはコクヨへのファンドの持ち分売却は直前まで知らされていなかったため反発。株式取得の経緯を問題視、提携に向けた話し合いの申し入れに応じていない。
(つづく)
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