2024年12月23日( 月 )

激変する情報通信業界でチャレンジを続ける 九電グループを代表するイノベーション企業(3)

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(株)QTnet 代表取締役社長 岩崎 和人 氏

インフラ事業者の使命と自社ブランディングへの注力

 ――今や情報通信システムは、社会にとってなくてはならない重要なインフラの1つです。近年、大規模な自然災害が頻発していますが、そうした災害で御社の情報システムが罹災した際は、迅速な復旧が求められることと思います。

 岩崎 昨年も西日本豪雨などの大規模な豪雨災害がありました。地震などはいつ発生するかがわからないにしても、豪雨などはある程度は発生が想定できます。弊社でも災害時における基本的な考え方や、通信サービスの継続および早期復旧を図るための対応基準を定め、迅速かつ適切な復旧体制を敷くために「事業継続計画(BCP)」を策定し、災害の発生に備えているところです。

 おっしゃるように、今や通信は電気などと同じく社会インフラの1つであり、なくてはならないライフラインでもあります。たとえば、携帯がつながらないことには災害時の安否確認もままなりません。人命に関わる事態の際は、コストなど関係なく、迅速な復旧を行ってまいります。インフラ事業者ですので、そうした災害などのリスクは必然的に付いて回りますが、これは弊社の使命だと考えていますので、全社を挙げて取り組んでいるところです。

 ――2017年7月に、現在の「(株)QTnet」へと社名を変更されましたね。

 岩崎 弊社の設立時からのもともとの社名は「九州通信ネットワーク(株)」で、その略称として長らく「QTnet」を使っていました。ただし、もともと法人向けでスタートしたものですから、一般の方には知名度が低く、そもそも九電のグループ会社だということを知らない人もいらっしゃいます。そのため、17年3月の30周年を機にCI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新して、新たな社名とロゴマークを策定しました。また、同時に新たな経営理念として「一客専心」「進取果敢」「共創協働」の3つを掲げ、これからも日々変化する情報通信のフィールドで、先進的で革新的なサービスをお客さまに提供し続けていく―との思いを全社的に共有するとともに、対外的にも打ち出しています。

 ただ、こうして社名をQTnetへと変更したのですが、俳優の阿部寛さんをCMに起用していることで、ウチのなかで一番知名度が高いのは「BBIQ」です(笑)。社名変更を検討する際にも、「社名をBBIQにしてはどうか」という意見もあったくらいです。

 また最近は、女優の川口春奈さんを起用した「QTモバイル」のCMが大人気ですね。こちらもQTモバイルというサービスを市場に出し、CMに彼女を起用してから、知名度が一気に上がりました。今ではBBIQとQTモバイルの2つのブランドは、知名度でいえば社名のQTnetよりも上です。

 一方で現在、会社としてのブランディングにも力を入れています。たとえば今年1月からは冠番組として、TNCテレビ西日本で「きらきら光校生 ブカツヒーローズ」という5分枠のミニ番組の放送を行っています。弊社は九州の通信事業者として「未来を拓く、新たな“光”を、九州から」をスローガンに掲げて、九州地域の発展に寄与すべく事業を行っていますが、日々それぞれの目標に向かって部活動に取り組んでいる高校生を紹介・応援していきたいという思いから、番組提供に至った次第です。

 また、5月1日には「QTnetジュニア将棋センター」をオープンしました。これまでも「小中学生こども将棋名人戦」や「こども将棋教室」などを九州各地で開催してきたのですが、今後もより多くの小中学生に将棋を楽しんでいただきたいという思いと、将棋に関する福岡のポテンシャル、さらには昨今の将棋ブームなどを勘案した結果、今回の将棋センターのオープンに漕ぎ着けました。私自身も将棋好きであり、日本将棋連盟との交流もありますので、皆さまのお力添えもいただいて、ここを日本で一番良い将棋センターにしていきたいと思っています。こうした地道な活動が、ゆくゆくはお客さまからのQTnetという会社に対する信頼を固くしていくための、小さな“橋頭堡”になっていくのではないでしょうか。

(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:岩崎 和人
所在地:福岡市中央区天神1-12-20
設 立:1987年7月
資本金:220億2,000万円
売上高:(19/3)約575億円

<プロフィール>
岩崎 和人(いわさき・かずと)

 九州大学大学院工学研究科情報工学専攻課程修了後、81年4月に九州電力(株)に入社。90~94年に現QTNetへ出向するなど情報通信部門を歩み、2010年6月に電子通信部長、11年7月に情報通信本部部長、14年6月に執行役員情報通信本部長を経て、16年6月に(株)QTnetの代表取締役社長に就任した。

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