人件費高直撃、減益が12社 主要流通企業14社の2~3月期決算(中)
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人件費高響く、ダイレックス
人件費高は不況知らずの高成長を続けてきた低価格業態も直撃している。
ダイレックスの前3月期は、21店を出店したことや既存店が1.6%伸びたことで売上高は7.6%増の2,136億円1,700万円だった。一方で、従業員の給与や時給を引き上げたことで人件費が11.5%増と2ケタ台で増加。販管費全体では10.8%増えた。増収効果で吸収できず、営業利益は8.0%減の78億200万円、経常利益は7.9%減の78億7,800万円と、09年サンドラッググループ入りしてから初の減益を計上した。
今期は25店の出店を計画し、売上高は7.2%増の2,290億円を見込む。人件費の伸び率は8.8%と前期から低下するものの、物流費などの増加で販管費は9.7%増える。粗利益率を17.39%と0.51ポイントの改善を見込み、営業利益は12.8%増の88億円、経常利益13.0%増の89億円、当期純利益16.3%増の59億3,000万円と増益転換を目指す。粗利益の改善は主に医薬品の増販で達成する方針。
ダイレックスの前期の減益は、潤沢なパート労働力の活用と低コストを武器に業績を拡大してきたこれまでの経営路線が転機を迎えていることを示す。販管費率は17年3月期の12.56%から18年12.85%、19年13.23%と連続して上昇。人件費比率は17年の6.51%から19年には6.71%に高まった。多店舗展開に必要な人手を確保するにはコスト増は避けられず、収益を圧迫することになる。
今期増益転換、ミスターマックスHD
ミスターマックスHDは0.2%増とわずかだが増収を確保した。出・退店が1店ずつだった。店舗作業の見直しで人員を削減し、販管費をほぼ横ばいに抑えたが、営業外収支の悪化で経常利益は8.6%減った。
今期の営業収益は0.7%増の1,193億円と微増収の見込み。5月に綾羅木店を閉鎖したのが減収要因になるが、既存店が1.7%増と前期の0.2%増を上回る伸び率を想定している。12月予定で福岡市博多区に出店する。
営業利益は10.6%増の28億2,000万円、経常利益3.1%増の27億9,000万円と増益を見込むが、理由は開示していない。当期純利益は前期あった災害保険金の受け取りがなくなるため19億3,000万円と14.2%の減益になる。
減収減益8社に
最も多かったのが減収減益で、イオン九州(株)、(株)ナフコ、(株)タイヨー、マルキョウ、マルミヤストア、イズミ子会社の(株)ゆめマート熊本、(株)ゆめマート北九州と8社だった。ナフコを除くと出店がなかった。
イオン九州は3.3%減と6期連続減収。販管費を1.7%削減したが、追い付かず経常利益は81.2%減の2億5,900万円に落ち込んだ。
今期の出店も見送り、既存店強化に注力する。営業収益は1.9%減の2,200億円と後退が続く。経常利益は35.0%増の3億5,000万円と増益見通しだが、利益水準は低い。
ナフコは既存店が前年割れだった上、出店3に対し閉店6と期末店舗数が2期連続で純減したことで、売上高は1.0%減と2期連続で減少した。人員減などで販管費を減らしたが、粗利益率の悪化もあって経常利益は7.0%減と3期連続の減益になった。
今期の売上高は0.8%増の2,250億円と3期ぶりの増収を目指す。出店は前期から繰り延べの甘木インター店と鳥取店の新館にとどまる見通し。閉店数は明らかにしていない。増収の根拠として前期までに行った既存店の増床と改装の効果を上げている。
経常利益は19.2%増の89億7,100万円と急回復を見込む。前期末人員が正社員だけで1年前比で4.8%減っているのが増益要因になる。
1,000億円割る、タイヨー
タイヨーの営業収益は10.8%減の971億200万円と2ケタ台で落ち込み、1,000億円の大台を割った。18年2月期に2店、前期は3店を閉鎖したことに加え、既存店不振が重なった。
営業利益は26.8%減の47億6,900万円、経常利益26.6%減の49億5,400万円、当期純利益23.0%減の32億700万円と大幅減だった。販管費を5.7%減らしたものの、追い付かなかった。
店舗減と既存店不振だけでは大幅減収減益の理由は説明しきれない。(株)トライアルカンパニーやドン・キホーテ、ダイレックスが相次ぎ進出していることも一因に上げられる。タイヨーの店舗は老朽店が多く、出店も過去5年間行っていない。清川和彦代表取締役会長のワンマン経営の下で従業員の出入りが激しい。業績悪化はこうした積もり積もったマイナス要因が表面化したと見る向きは多い。
経常利益率5.10%と全国の流通企業で最高水準の収益性も今後は次第に低下することが予想される。
(つづく)
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