アンチ・エイジングからリバース・エイジングへの発想転換(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年7月19日付の記事を紹介する。
さて、そんな“アンチ・エイジング社会”アメリカで今、新たな進化が見られるようになった。何かと言えば、「リバース・エイジング」という発想法である。これは年を取ることをストップさせようとするのではなく、「自らの年齢を20歳ほど若返らせる」ことを目標としている。
そのためには「本人の意識に働きかけることが何よりも重要」としており、表面的にシミやしわを取り除くとかホルモン注射によって肌の張りを取り戻すとかといったアプローチとは一線を画すもの。この若返り運動の提唱者はハーバード大学で女性初の心理学教授となったエレン・ランガー教授である。
曰く「若返りのために医師に頼る必要はない」。アメリカの国家財政の重荷になっている社会保険費を減らすためにも、75歳の高齢者が55歳まで若返ってくれれば、大きなメリットが生じるというわけだ。しかもその方法は極めて簡単で、一人一人の生理学的な体内時計を20年前に巻き戻すというのである。
同教授によれば、「リバース・エイジングは決してSFの世界の話ではない」。長年にわたる実験、研究の成果をもとに彼女は一つの結論を導き出した。それは「現在の医学においては、病気を特定したり、その治療法を提供したりはできるが、その応用効果に関しては保証の限りではない。なぜなら、患者一人一人の置かれている状況は千差万別で、万人に共通する薬や治療法は存在しないから」ということに尽きる。
要は、患者一人一人が自分の健康状態や精神、肉体の状況に関しては、誰よりも自信を持って判断できる立場にあるということだ。「医者はあくまでコンサルタントとして利用すればよい」という考えである。
多くの人々は高齢の域に達すれば、誰もが記憶力の低下や、筋肉の衰えに悩まされることになると思いこんでいる。周りの状況や常識的な判断に左右され、自らの肉体や意識の現状は言うに及ばず、秘めた可能性について徹底的に試してみることを諦めているケースが多い。できない可能性にとらわれ、できる可能性を無駄にしているのではないか。
そのような観点からランガー教授は1979年に興味深い実験を行った。ニューハンプシャー州にある老人ホームに入所している高齢者を2つのグループに分けて行った実験である。1つのグループには自分たちが若かった頃の思い出話に花を咲かせるように促した。もう1つのグループには自分たちが若かった頃と全く同じような環境の下で過去を追体験することを促したのである。
※続きは7月19日のメルマガ版「アンチ・エイジングからリバース・エイジングへの発想転換(後編)」で。
著者:浜田和幸
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