安倍内閣に不都合な日米FTAの真実
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は米国に対して何も言えない政権は退場するしかないと安部政権を厳しく批判した8月28日付の記事を紹介する。
5月に米国のトランプ大統領が国賓として来日した。5月25日から28日までの3泊4日の旅程だった。
5月26日は、米紙が「大統領はほぼ観光客として1日を過ごした」と報じた空虚な1日だった。安倍首相はゴルフ、相撲観戦、炉端焼きの接待に明け暮れた。これだけの時間があるなら沖縄を訪問して基地問題を論じるべきだった。
そのトランプ大統領が27日の日米首脳会談を終えて、「日本との貿易交渉は大きく進展した。農産品と牛肉が交渉の中心だ。大きな数字を期待する」
「(夏の)参院選までは、交渉の多くのことで取引を待つ」
「8月に大きな発表ができると思う」と述べた。安倍首相は日本の主張を何1つ発言できなかった。
北朝鮮の金正恩委員長はベトナム・ハノイで開催された第2回目米朝首脳会談でトランプ大統領の提案を拒絶した。これまでの交渉経緯から外れる提案を米国が示したためだ。
中国は5月の閣僚級会合で米国の要求を拒絶した。米国が理不尽な要求を突き付けてきたからだ。
対話を継続するが、理不尽な要求には毅然と対応する。これが国益を守る外交だ。
しかし、安倍外交は異なる。米国にモノを言うことができず、ただひれ伏すだけだ。できるのは接待尽くしだけ。「安倍害交」と表現するのが適切だ。
その日米FTAが一方的にまとめられた。安倍内閣はTAGと称しているが米国公式文書にTAGの表現はない。公式文書に記されたのは
“a Japan-United States Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services”
で、これを日本語に置き換えれば「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定」であり、安倍内閣が主張するTAG(”a trade agreement on goods”)ではない。
国際法(WTO)上、MFN(最恵国待遇)原則に反する特定国間での関税の引き下げはFTAを結ばないかぎり不可能であるから、牛肉豚肉の関税率引き下げを実施するには、日米間の協定がFTAであることが必要不可欠だ。
米国抜きのTPPを強引に批准した際に、安倍首相は国会で日米FTAはやらないと繰り返してきた。これとつじつまを合わせるために嘘を重ねているのである。
米国に一方的に押し付けられた日米FTAが合意したとトランプ大統領に表明されてしまった。これに安倍首相はまったく反論できない。もはや外交崩壊というほかない。
三つの重大な問題がある。第一は、肉の関税率引き下げが示されたが、セーフガード発動の条件が明示されていないこと。TPPでは米国を含む輸入数量の上限を定めるセーフガード発動基準が定められた。その数値が、米国が離脱した際に修正されなかった。
米国との間で数値を設定するなら、TPPで決定した数値から米国分を差し引かねばならない。
これが未決着である。
第二は、米国の日本からの自動車輸入関税率がTPPでは、気の遠くなるような未来のことではあるが、曲がりなりにも撤廃が明記されたが、これが消えた。
※続きは8月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「メディアが報じぬ日米FTAの絶望的核心」で。
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