スーパーマーケット 表の事情と裏の事情(3)~24時間、売り場を切り替え続けられるか
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「生鮮強化」にはまず、鮮度保持だ。たとえば水産物は保存環境温度が5℃を超えるとみるみる鮮度が落ちる。とくに刺身などの加工度の高いものはとくに鮮度落ちが速い。
スーパーマーケットの冷蔵陳列庫は家庭の冷蔵庫と違って密閉ができない。しかも霜取りという冷蔵停止時間を設定しなければならない。これをやらないと冷蔵機に霜がつき、冷却機能が停止するからだ。
だから密閉式の家庭の冷蔵庫なら2日位は十分鮮度が保てる刺身もスーパーマーケットの売り場では1日もたない。
惣菜もある意味では同じだ。「ただ今できたて」も数時間売り場に置けば、お客の目から見ればできたてではなくなる。
総菜売り場で「この商品は・・時につくりました」と表示しているケースを目にするが、夕刻に来店するお客にとって、午後一番でつくった商品はできたてではない。
まして午後8時に仕事を終えて夜の食事を買い求めるお客さんにとって製造から時間が経ったスーパーの総菜や鮮魚売り場の刺身は仕事疲れに追い打ちをかけるようなものである。
だからと言って、あらゆる時間帯にお客さんに満足してもらう売り場づくりをすれば、結果として大きなロスにつながりかねない。もともと原価も製造コストも安くない生鮮だから、一定以上のロスを生むと経営そのものが危うくなる。
人間はもともと危険より安全を選ぶ生き物だ。だから、わざわざロスの危険をはらむ顧客対応より、ロスをなくする売り場づくりを選択するのが普通だ。だから24時間営業のスーパーマーケットの生鮮売り場は、受け身の売り場づくりにならざるを得ない。
【筑前 太郎】
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