2024年11月17日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~日本発祥QRコード技術 中国から逆輸入

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 日本のNTTデータグループがこのほど、無人商店システムの研究開発分野で中国のスタートアップ企業と協力を展開することを明らかにした。同分野でトップに立つ中国からQRコード認証技術を導入し、遅れている無人商店技術で逆襲をかけることが目標だという。

 日本が発祥のQRコード技術は中国で再創造が行われた後、新しい技術、新しいビジネスモデルを構築し、それから日本に逆輸入された。これは技術革新(イノベーション)ではよくあることだ。

 QRコード(キューアールコード)は、1994年に自動車部品メーカーであるデンソー(愛知県)の開発部門(現在は分離しデンソーウェーブ)が発明したマトリックス型二次元コードである。

 「QR」はQuick Responseの頭字語であり、高速読み取りを目的の1つつとしている名称である。「QRコード」はデンソーウェーブの登録商標(第4075066号)である。

 トヨタ生産方式「カンバン」(ジャストインタイ厶生産システム)において、自動車部品工場や配送センター等での利用を念頭に開発された。しかし、誤り検出訂正の能力が高く、また、オープンソースとされたことから、トヨタのサプライチェーンの範囲から飛び出して1人歩きを始め、現在では日本に限らず世界に広く普及している。

 NTTデータの今回の協力相手は上海の科学技術企業だ。同社はQRコードを通じて顧客の入店・出店や決済の管理を行う。店舗に設置されたカメラとセンサーによって来店と商品の移動状況を把握し、誰がどの商品を買ったか確定する。

 中国はこの分野ですでに世界の先駆者であり、多くのネット科学技術企業などがこの新興業態に相次ぎ参入する。塀の中で花が咲き、その香りが塀の外へ広がるようなものだ。このたびのNTTグループの動きは、スタートアップ企業に投資するということではなく、実際にQRコード業務を展開することが目的だ。

 北京市は現在、都市公共空間サービス施設管理規則を制定中だ。街路灯、ゴミ箱、ベンチなどすべての公共サービス施設が将来的に、「QRコード」身分証明証を付与されなければならない。都市管理者は「認証コード」による法執行を実施することになり、QRコードのない施設は一律で規定違反施設と認定される。

 都市道路公共サービス施設とは、都市部の道路両側の公共スペース内に設置され、歩行者に直接サービスを提供する施設のことだが、数が多く種類が複雑という問題が常に存在している。これらの「都市の家具」はどのように登録し、身分を示すのだろうか。

 北京市は2015年より都市道路公共サービス施設に「QRコード」管理を増設している。スマートフォンの微信(WeChat)、QQ、微博(ウェイボー)などのソフトを使い施設のQRコードをスキャンすれば、その施設の名称、所有者、監督管理機関などの基本情報が速やかに表示される。また施設に存在する汚れや破損などの問題をネットで報告できる。北京市都市管理委員会が明らかにしたところによると、北京市は昨年末現在、約550本余りの大通りの約6万5000カ所の都市道路公共サービス施設のQRコード管理を実現している。

 北京三里屯太古里南エリアを取材した。道路沿いの店の入口の目立つ位置に、手のひらサイズの四角い箱が設置されていた。そこには「都市管理QRコード」という文字が中国語と英語で書かれ、それから白黒のQRコードがあった。

 記者はスイーツ店を選び、携帯電話で入口のQRコードをスキャンした。すると店の名称、営業許可証ナンバー、法人、所在地、行政所属、監督管理機関など一連の情報が表示された。ページの一番下には「問題報告」のボタンがあった。これをタップすると違法広告、施設の破損、衛生問題、違法経営、歩行妨害などのさまざまな問題を報告できる。ページ下の「関連サービス」ボタンをタップすると、近くの地下鉄、公衆トイレ、バス停、保安施設、地域交番などの情報が表示される。

 NTTデータが今回導入するのは(ハードウェアを含むひとそろいの認証技術であり、中国をはじめとするアジア各国の最新技術を採用し、日本ですでに1つの流れを形成している。

 日本自体も無人商店の発展に非常に適した国だ。日本は先進国であり、コンビニエンスストアは多く、高齢化が進行し、人手は不足する。携帯電話で決済する無人商店モデルにより、労働力を極めて大きく削減することができる。同時に、日本は収入が多く、国民の質が相対的に高く、貨物の損傷も少ない。しかし日本のモバイル決済の割合は相対的に低く、これはつまり、この方面で日本にはまだ大きな発展の可能性があるということだ。NTTデータの計画では、2022年度に無人商店1千店舗を開設するという。

 広く世間の注目を集めるのは、日本企業が中国企業に技術を移転するのではなく、中国企業から技術を導入するという点で、実際に非常に珍しいケースといえる。

 QRコードは1994年に日本人が発明し、中国で再創造が行われた後、新しい技術、新しいビジネスモデルを構築し、再び日本に逆輸入された。これは日中科学技術分野での協力の美談になるという。


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