2024年11月22日( 金 )

弁護士の弁護権の濫用による一層の混迷 ― 千葉ゴルフ場鉄塔崩壊事件 ―

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1 弁護士の社会的使命

 弁護士は高度な法律知識により、民事紛争を合理的に解決することが期待され、またその業務の独占が保障されています。この立場の人間は先ず第一に紛争の客観的な状況を把握して、関係当事者が最終的に合意できる解決策を迅速に模索することが基本的な義務です。
(これを委任の本旨という)

2 本件鉄塔崩壊についての基本的な法律関係

 工作物による被害ですから民法717条の問題です。本件では工作物の占有者と所有者は同一とみてよいので、所有者はその設置管理に瑕疵がなければ法的責任は発生しません。

 本件弁護人の「鉄塔崩壊は天災であるから、賠償責任を負わない」という主張は明らかな謬論です。本件鉄塔の崩壊は天災と評価される台風によって引き起こされましたが、そのことだけで、本件鉄塔の設置管理に瑕疵が無かったとはいえません。一例を示せば、鉄塔の崩壊は防護ネットの風圧によって引き倒されたもので、防護ネットをあらかじめ巻き取って退避させておけば発生しなかったものですから、設置管理の瑕疵は明白です。とくに、防護ネットが着脱ないし可動式でなく固定式であったことはそれだけで重大な設置管理の瑕疵と評価されます。鉄塔の基礎部分の鉄骨土台の経年劣化腐食も報道されており、事実であれば設置管理上の瑕疵は明白です。

 鉄塔の所有者が民事賠償責任を免れる場合は鉄塔およびネットの設置管理に瑕疵がなかった場合ですが、現在まで、客観的に瑕疵を推認させる事実は存在しても瑕疵の存在を否定する事実はまったく存在せず、また、具体的に弁護人からの主張もありません。ただ、「天災だから責任がない」という主張だけです。このような乱暴な論理でもって賠償責任を否定して必要な原状回復義務の放置不履行はそれだけで新たな賠償責任を発生させています。この事態は弁護人の不当な弁護活動に起因するものですから、明かに弁護権の濫用による新たな権利侵害です。被害者は受任弁護士による違法な弁護活動自体の法的責任を追及すべきで、また所有者は未熟な弁護士を早急に解任して誠実な弁護士を任命しなければますます法的責任が増大することを認識すべきです。

3 責任の内容

 不法行為責任は原則的に損害賠償責任です。ただ、本件では被害者は建物や動産の所有権侵害を受けており、所有権に基づく原状回復請求権があります。所有者が崩壊鉄塔の除去について、不合理な遅延を生じている場合には遅延によるさまざまな法的責任が発生します。

 この点からも、所有者の代理人弁護士は依頼人の利益も侵害しており、受任者としての債務不履行責任は重大です。弁護士といえば誰もが縮み上がるとでも思っている言動も報道されており、本件事件の所有者の代理人弁護士の責任は重大です。

【凡学一生(東京大学法学士)】

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