2024年12月24日( 火 )

中小企業の大廃業時代到来~地銀は生き残れるか(後)

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 【表1】を見ていただきたい。中小企業庁の「中小企業・小規模事業者の数」(平成30年12月14日更新)を要約している。なお、中小企業庁は中小企業者(含む小規模事業者)・大企業者と表記しているが、ここでは大企業・中小企業は社とし、小規模事業は者のままとする。

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~この表から見えるもの~

 2016年6月現在、全国の民営企業(一次産業を除く)の総数は358万社(以下、万以下切り捨て)。大企業は1万1,157社(比率:0.3%)で、中小企業は357万社(比率:99.7%)となっている。

 中小企業のなかに小規模事業者が含まれており、内訳は以下の通りとなっている。公表していない一般の中小企業は53万社(比率:14.8%)に対し、小規模事業者は304万者(比率:84.9%)となっており、圧倒的に小規模事業者の比率が高い。

 全国の雇用者総数は4,678万人。大企業は1,458万人(シェア31.2%)で、1社あたりの雇用者数は1,307.1人。中小企業(含む小規模事業者)の雇用者は3,220万人(比率68.8%)で、1社あたりの雇用者数は9.0人となっている。内訳は、一般の中小企業の雇用者数が2,176万人(シェア46.5%)で、1社あたりの雇用者は41.1人。一方、小規模事業者は1,043.7万人(シェア22.3%)で、1者あたりの雇用者数は3.4人。雇用者数に大きな差があるのがわかる。

【表2】を見ていただきたい。九州7県の中小企業数の順位表である。

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~この表から見えるもの~

 九州7県の中小企業は368,528社(全国シェア10.3%)。内訳は一般の中小企業が54,053社(全国シェア10.2%)で、小規模事業者は314,475者(全国シェア10.3%)。大企業は620社(全国シェア5.5%)と少ないのがわかる。

 九州の中小企業社数1位は福岡県で、135,052社(シェア36.6%)。内訳は一般の中小企業が22,168社(シェア41.0%)で、小規模事業者が112,884者(シェア35.9%)。中小企業社数が10万社を超えているのは福岡県だけとなっている。

・2位は鹿児島県で49,915社(シェア13.5%)。人口の多い熊本県を上回っているのが目に付く。内訳は一般の中小企業が6,291社(シェア11.6%)で、小規模事業者は43,624者(シェア13.9%)。大企業は55社(シェア8.9%)。

・3位は熊本県で47,815社(シェア13.0%)。内訳は一般の中小企業が6,860社(シェア12.7%)で、小規模事業者は40,955者(シェア13.0%)。大企業は62社(シェア10.0%)で、鹿児島県を上回っている。以下、4位長崎県、5位宮崎県、6位大分県、7位佐賀県の順となっている。

 【表3】を見ていただきたい。九州7県の3区分別人口割合の推移表である。

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~この表から見えるもの~

 全国の65歳以上を見ると、2016年は27.3%(75歳以上13.3%)。2017年は27.7%(75歳以上13.8%)。2018年は28.1%(75歳以上14.2%)と、全国的に高齢化が進んでいる。

 ・九州7県のうち、福岡県だけが3回調査とも全国の割合を下回っているが、佐賀県をはじめ6県は上回っているのがわかる。

 全国の2017年と2018年の65歳以上は前年比+0.4%となっている。福岡県は0.5%で九州全県が0.4%を上回っており、高齢化の波はますます高まることになりそうだ。

<まとめ>

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 【表4】は九州地銀の株価推移表である。2019年9月末の株価を見ていただきたい。下げが一番大きかったのは西日本FHで前年比▲557円の757円(▲42.39%)。次が北九州銀行を傘下に持つ山口FGで、前年比▲496円の742円(▲40.06%)となっている。

 以下、佐賀銀行(▲37.11%)、ふくおかFG(▲34.69%)、大分銀行(▲29.92%)、宮崎銀行(▲27.27%)、九州FG(▲18.52%)の順となっている。いずれも日経平均の前年比▲9.80%を大きく上回る下げとなっている。人口の減少による地域経済の衰退が急速に進んでおり、九州地銀18行のうち9行が経営統合している。はたして、経営統合せずに単独で生き残れる銀行はあるのだろうか。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

(中)

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