疾病リスク低減表示拡大と公正競争規約はトクホの救世主となるのか?(3)
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日健栄協がトクホの表示に関する公正競争規約策定へ
そんななか、7月23日に日健栄協がトクホの表示に関する公正競争規約を早ければ今年度中にも策定し、来年度から施行したい考えを発表した。日健栄協ではトクホの広告自主基準を07年に策定し運用してきたが、法的な運用にはなっておらず強制力には限界があった。トクホ制度全体の格上げと消費者の信頼感アップを目的に公正競争規約の策定に踏み切ったとのことだ。
ちなみに、広告自主基準に基づいた広告審査会は過去に9回開催されており、審査件数は1,300を超えている。スタート当初は30%程度であったグレー表示に対する注意・指導などもここ数年は10%に落ち着いてきていた。つまり、広告自主基準でも一定の効果はみられていたが、さらにそこに法的な位置づけを求めたということだ。
現在、業界では1979年にロイヤルゼリーの表示に関する公正競争規約が制定されており、他業種では乳製品で5つ、飲料で6つ、さらに化粧品や歯磨き、洗剤などでもそれぞれ表示の公正競争規約が存在している。
公正競争規約に関しては、適合マークに関しては制定してもしなくてもよく、さらに制定しても表示の有無は自由となっている。現時点では未定であるが、すでにトクホマークがある以上制定しない方向と考えられる。現在、日健栄協のトクホ部会には16社が参加しており、日本のトクホの売上の90%は日健栄協の会員企業であるとのことであるが、一方でトクホ取得企業は約180社程度とみられており、公正競争規約策定の条件の1つである“アウトサイダーが少ないこと”といった条件が売上ベースでクリアできるのかどうかは不明。
今後、日健栄協がトクホ取得企業各社へ公正競争規約策定準備委員会への参加を呼びかけていくことになる。
機能性表示食品でも広告基準構築がスタート
一方で、今年6月6日に規制改革推進会議から出され閣議決定された「規制改革推進に関する第5次答申」のなかで、「機能性表示食品に対する法執行方針の明確化」と「機能性表示食品制度の運用における連携強化」がいずれも令和元年度検討・結論・措置としてあげられている。
これは、現時点で機能性表示食品の広告などが表示の科学的根拠を欠くとされた場合、食品表示法に基づく行政指導による撤回に該当するのか、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づく措置命令を講じられるかの予見性に乏しい。そのため、事業者の委縮や不公平感をもたらしているとの指摘を受けて、機能性を裏付ける科学的根拠について、どのような場合にその科学的根拠を欠くものとして景品表示法による処分の対象となるのかを、ガイドラインで整理・公表することが求められたものだ。
また、事業者が届出の段階において販売後の関係法令上の問題点も自ら把握できるように、消費者庁食品表示企画課と表示対策課で連携して、事後チェックの透明性向上に係るガイドラインを作成・公表することが要望されている。
さらに、事業者の自主的な表示適正化の取り組みを支援するために、第三者的な役割をもつ機関あるいは組織を活用して、透明性のある法執行の仕組みを構築することも求められている。この件に関しては、現在、消費者庁と定期的に情報交換を行っている、(一社)健康食品産業協議会、(公社)日本通信販売協会(JADMA)、日健栄協、日本抗加齢協会、そして日本チェーンドラッグストア協会の5団体によって「第三者的な役割をもつ機関あるいは組織」の構築に向けての調整が行われているとみられている。
(つづく)
【取材・文・構成:継田 治生】法人名
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