スーパーマーケット 表の事情と裏の事情(10)~異なる業態を、同質化させずに取り込むには
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強者の論理で自分たちの価値観を押し付け、同質化を推進する結果になれば、異業態を取り込む意味はない。だからと言って放任というわけにもいかない。
ヤオコーの選択した手法は自社の人材をエイヴイに派遣して異業態の考え方を体験させるやり方だ。価値観の相違を冷静に分析、認知して彼我の違いを知り、双方にとって統合のメリットを探す。目指すはお互いの価値観の違いと生き方を認めるダブルラインだ。
経営座標が違えば、その手法も自ずから違う。クオリティー型のヤオコーの社員には安く売るための手法とそれから生まれる未体験の売上結果は驚きのはずだ。
その体験はヤオコーにとって自らの手法を冷静に反芻する材料になる。革新的な考えや手法は同質を学ぶだけでは手にできない。Make a differenceである。
しかし、エイヴイの社員がヤオコーに学ぶのは意味がない。クオリティーは加える業態だが、ディスカウンターは省く経営だからだ。省く経営に加える手法を取り入れればコスト上昇で安く売る業態の根底が崩れる。
従来型のヤオコーと新たに買収したエイヴイとには、粗利益率や売上げなどの数値に大きな違いがある。ヤオコーにとって、エイヴイをどう拡大して複合経営をうまく運ぶかは今後の大きなテーマでもある。
【筑前 太郎】
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