中国経済新聞に学ぶ~中米の主導権争い ついに仮想通貨におよび(後)
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中国国営の新華社は11月14日、「米国のデジタル通貨への取り組みの緩慢さが業界で憂慮されている」というタイトルのコラムを掲載した。コラムは、多くの中央銀行がデジタル通貨開発に関心を強め、世界中のホットな話題となっているのに、米国はほぼスルーし、Facebookの仮想通貨「Libra(リブラ)」には圧力をかけていると指摘。米国の業界からも、「デジタル通貨の世界競争に乗り遅れる」との懸念が寄せられていると紹介した。
コラムによると、欧州連合(EU)やカナダに加え、世界各国の中央銀行から構成され、「中央銀行の中央銀行」とも言われる国際決済銀行(BIS)までも、デジタル通貨の研究に着手したのとは対照的に、米国ではリブラ協会からVisaなど大手決済企業が離脱するなど、関連プロジェクトの後退が止まらないことに言及。米国は反対の理由として「マネーロンダリングやテロ資金への悪用、国の安全問題への影響」を挙げながら、実際には「世界の金融環境で、米ドルの影響力が低下すること」を懸念している可能性を指摘した。
その意見に対し、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは10月23日、米議会下院金融サービス委員会の公聴会に出席し、同社が発行を予定している仮想通貨「リブラ」の開発における同社の役割について証言した。
リブラは安全資産のバスケットに裏づけられており、世界中で使用できるように設計されている。証言は、イントロダクション、リブラプロジェクトの概要、差別との闘い、多様性へのコミットメント、結論、という5つのセクションに分かれている。イントロダクションで、ザッカーバーグは中国が同様の仮想通貨を発行し、国営企業のコンソーシアムを介して流通させる予定であると述べ、リブラはその対抗馬であると位置づけた。
これまで、フェイスブックはリブラが国際通貨のバスケットに裏づけられ、リブラの発行・管理を行う協会に参加企業が共同出資する点を強調していたが、公聴会では中国の脅威を持ち出し、政治的観点からリブラの必要性に理解を求めた。
このセクションの最後で、ザッカーバーグは「米国がこの分野をリードしなければ、他国がするだろう。他国の政府や企業は、米国と同じ規制制度や透明性に対するコミットメントを持たずに実行するかもしれない」とザッカーバーグは述べた。
エコノミストの鈴木卓実氏はこう分析した。今回の中国のデジタル通貨については、おそらくそれが中国人民銀行など数行の銀行だけでチェックすることになる。中国は一帯一路で物を動かすシステムを作っているし、そこに5Gを引くことで、「デジタルシルクロード」にする。ここにすでに普及しているキャッシュレス決裁やデジタル人民元を加えれば、物と金と情報を握られることになる。
これまで国際送金はSWIFTというシステムを使わなければならなかったし、なおかつ基軸通貨がドルだった。アメリカの強さの源泉もそこにあった。それをデジタル人民元で中国から別の国、別の国から中国へ、ということができるようになれば、アメリカの制裁が及ばないところで取引ができることになる。さらに中国は世界主導権を握れると懸念も出てくると思う。
(了)
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