2024年12月23日( 月 )

【政界インサイダー情報】IR管轄行政とRFC、RFP

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 先日、お伝えしたように(【政界インサイダー情報】国土交通省、国へのIR申請期間を正式に提示)国土交通省は各候補地管轄行政からの申請(IR区域整備計画提出)期間を2021年1月から開始し、同年7月に締め切ると公式に発表しました。

 各地方の管轄行政のあまりの無知さとその行動に呆れています。これを報道する側も同様で、うわべだけのお粗末な伝え方をしています。

 長崎県は11月26日にすでに受理済みのRFC(Request for Concept ) 対象者3者で締め切り、来年度から本格的な本件事業者公募RFP(Request for Proporsal)を開始すると公表しました。

 もう一度、この件について詳しく説明しましょう。和歌山、北海道などの行政側も、肝心の環境アセスメント調査さえ事前に実行していない状況です。

 RFPを提出する民間側も、各管轄行政に対して申請するための事業者(本件事業母体の組成、後のConsortium)組織がいまだに形成されていません。北海道は前述の調査結果が出るまでは参加すること自体の判断ができないのです!

 事前のRFC提出者は、あくまでも各海外カジノ投資企業独自によるものであり、上記事業者の組織組成が必要のない各社単独によるパフォーマンスです。だから長崎にも3社ある訳です!

 次の展開であるRFPとは、海外カジノ投資企業を中心とした事業母体である「日本法人設立予定組織」を組成した者が管轄行政に対して、具体的かつ詳細な計画書などを添えて申請することです。これは後のConsortium設立予定者が裏付けと確証のある上記書類を「お上」に対して上申(公募に参加する)することです。筆者は、それが同一地域に複数設立されることなどあり得ないとたびたび説明してきました。

 この事業者組織組成には日本側の大手企業(デベロッパーなど)と地元財界のエクイティ投資参加者(総資本の40%内外が日本側の負担)の事前の約束が必須条件なのです。これが形成約定されていないとRFP(公募)に参加できません。

 各候補地の商工会議所や経済連合会、青年会議所などはすでに協力体制としてありますが、これはあくまでも「後援者」であり、エクイティ投資に参加予定の企業ではありません。

 長崎の場合、当初からJR九州の石原氏が積極的に応援しているので、RFC提出済みのいずれかの海外カジノ投資企業にJR九州が本格的にエクイティ投資参加の意思を公式に表明すれば、具体的な事業者組織組成の可能性が成立するわけです。

 しかしながら、年間の営業総収入(売上)が約4,400億円程度のJR九州が、本件のような巨大開発事業のエクイティ投資参加企業に当てはまるはずがないのです。地方の企業には投資規模がマッチしません!

 上記の通り、基本的に地方では、この巨額の開発案件は絶対採算が取れず、リスクの高い巨大事業となります。九州一の大都市である福岡市都市圏にしか、実行可能性はありません。

 また、この国の「コンプライアンス症候群」のサラリーマン重役では、国際ビジネスにおける意思表明書(LOI)程度にも現状ではサインできず、その権限も迫力もグローバルな知識もありません。もし、彼らが本気で地域貢献を考えているというなら、自身の出処進退をかけて、そのエクイティの一部でも負担して、この可能性に勝負すべきです。しかし、誰1人そんな覚悟はありません。

 安倍政権下の官僚と政治家たちによる、上記のような状況を理解したうえでの IR実施法案であり、戦略です。これは安倍首相の残りの任期に併せての忖度であり、それを配慮した国への申請期間なのです。

 従って、当然ですが、地方のI Rはこの組織組成ができずに崩れていきます。要は、本件は水面下での出来レースです。すでに組織組成済みの横浜と大阪しか可能性はないと断言できます。

【青木 義彦】

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