公的企業営利化で私的利益を追求するシロアリ族
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「民営化」という名の「営利化」は大きな曲がり角に差しかかっていると訴えた12月22日付の記事を紹介する。
「民営化」とは「営利化」のことである。「公営」の最大の特徴は「非営利」である。ここに最大の相違がある。
人々が生きてゆくうえで、どうしても必要な事業がある。しかも、その事業が独占形態になる。このような事業においては事業運営を公的に管理することが合理的だ。
「公営」は「非営利」で利益を得ないから、その分サービスを安価に提供できる。公的事業の経営に携わる者は公務員あるいは準公務員であるから公務員の給与規定に基づく賃金が支払われる。法外に高い賃金、報酬は支払われない。
民営化された企業の場合、利益は配当と役員報酬と内部留保のかたちで処分される。この利益分だけが公営事業よりも高いコストになる。
民営化が推進されるのは、民営化された企業の経営トップに居座り、高額報酬を獲得しようとする者が多いからだ。公営事業だと事業を効率的に行おうとするインセンティブが低く、事業の効率が悪くなるというのは、取って付けた口実だ。
民営化を推進している人物が民営化された企業の経営トップに居座り、法外な高額報酬を懐にしているというのが民営化の実態である。典型的な事例がJR東海だ。
旧国鉄職員であった葛西敬之氏は民営化を積極的に推進し、1987年に民営化されたJR東海に移籍し、1990年に代表権を持つ取締役副社長に就任した。爾来、30年近くにわたってJR東海の代表権を握って離さない。
社長、会長を歴任し、名誉会長に退いたのちも代表権を離さない。民営化というよりも私物化と表現する方が適切だろう。
事業効率を高めるための「民営化」というのは表向きの大義名分で、この「民営化」によって私的な利益を獲得しようとする者が群がる。
主権者に必要不可欠な財やサービスを提供し、しかも、独占形態になる事業は、公的に管理することが望ましい。
親方日の丸で経営努力が不足するとの問題については、公的管理下での事業効率引き上げのための制度的な工夫をすればよい。あるいは株式会社形態を採用するのであれば、その企業を政府の管理下に置いて、配当を行わない、利益を出さない、役員に対する報酬を制限するとの措置を設けるべきだ。公的管理下に置く企業として政府が監視すべきなのだ。
「民営化」の名の下に私的な利益が追求されてきたのというのが日本の民営化の歴史である。
「公がやるべきものは公に」
「民がやるべきことは民に」が正しいのであって、
「民でできることは民に」
は間違っていることを確認しなければならない。
郵政三事業が民営化されたが、結局この民営化も、私的な利益獲得を目指す人物や勢力によって、日本の国民資産が食い荒らされてきたというのが実態になっている。
貯金事業、保険事業、郵便事業が民営化されたが、民営化を指令したのはハゲタカ資本だ。ハゲタカ資本は日本の郵政グループが保有する350兆円の国民資金と日本最大級の一等地不動産資産に目を付けた。
※続きは12月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「官僚天下りと民僚天上がりのどちらもダメだ」で。
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