2024年12月27日( 金 )

【BIS論壇No.307】『広瀬輝夫・NY医科大教授、BIS名誉顧問を偲ぶ』

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 NetIB‐Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。今回は2019年12月24日付の記事を紹介。


 米国ニチメン(現:双日)ニューヨーク本社開発担当Vice PresidentとしてNYに駐在中、新規事業や新商品開拓に注力した。在NY日本人として、NYのビジネス界において最も米国人に食い込んでいるという「NY紅花」のロッキー青木氏と面識ができた。

 ボリビア向けガスパイプラインビジネス関連で、ロッキーから元ボリビア副大統領の姪を紹介された。この姪にとくに南米、アフリカ、中近東に人脈が広いという元NY国連本部広報担当のグロリア・キン女史を紹介された。キン女史はマンハッタン東の5番街近くにあり、建築雑誌にも紹介されるほど有名なマンションのワンフロア全部を占める大邸宅に住んでいた。ニチメンの創立記念日にはここを借り切りビジネス関係者100名近くを毎年招いて創立記念パーティーを開催。NYビジネス人脈開拓に大いに活用させていただいた。

 ドクター中松がNYをご訪問の際も、何度かこの邸宅で歓迎パーティーを開催した。

 人脈の豊富なキム女史がある時、彼女のパーティーでハワイのイースト・ウエストセンター博士過程で日韓文化論の研究をしている大脇準一郎氏を紹介してくれた。早速、大脇氏よりNYに長年在住し、心臓医学で世界的に有名な心臓手術の第一人者・廣瀬輝夫NY医科大学教授、那須・元毎日新聞NY支局長と筆者の3人で医学博士、ジャーリスト、商社マンの鼎談に招かれた。そこで初めて広瀬広先生を紹介され、30年来のご縁ができた。

 帰国後、1992年2月に日本ビジネスインテリジェンス協会を立ち上げた。その際、廣瀬先生と同じく、NY世界発明会議で御縁ができたドクター中松、ブラジル・リオデジャネイロ駐在中に御縁のできた小野田寛郎・元陸軍情報将校ともども顧問として参画いただいた。

 広瀬先生は70年以上にわたる医学研究で、現代医学だけでは難病のガンや自律神経失調症、精神疾患、認知症などは直せない。従って西洋医学と東洋医学、漢方、鍼灸、さらにアユルベーダ、ユナニなどとの融合が大切だとの信念で、晩年、東洋医学の研究に注力。世界135カ国を歴訪。現代医療、伝統新興医療の融合研究に励み、その集大成の名著「世界の民族伝統医療に学ぶ日本の医療『融合医療』」を平成29年9月に三冬社から出版。これが絶筆となった。

 日本ビジネスインテリジェンス協会に事務局を置く廣瀬先生設立の最後の融合医療協会「国際伝統・新興医療融合協会」を先生の遺志を継いで今後とも末永く発展させていきたいと誓いを新たにしている。BIS会員各位の御協力を切望する次第である。

 その廣瀬輝夫先生が11月15日NYで他界された。はるかに先生のご冥福を祈ります。

 広瀬輝夫先生は1926年東京で出生。千葉大学医学部卒、中山外科でがん手術を研究。1954年心臓外科研究の為、渡米。帰国後、千葉大学医学部講師に就任。1958年再渡米し、NYで研究、医療活動に従事。NY医科大学臨床外科教授、2000年秀明大学医療経営学科長主任教授。日本医療経営学会名誉理事長、国際伝統・新興医療融合協会名誉顧問など歴任。世界初無輸血開心術用無血人工心肺開発。冠動脈バイパス手術など120カ国で3万人の手術を行い、米国医師会功労章を受章、東洋人初の米国胸部外科学会評議員などを歴任された。

<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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