明暗が分かれた2019年の福岡プロスポーツ(後)
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昨季最下位からの飛躍・ギラヴァンツ
日本プロサッカーリーグ(J.LEAGUE)のJ3に属するギラヴァンツ北九州(以下、ギラヴァンツ)。2019年シーズンは19勝6敗9分でJ3優勝を決めた。
昨季(18年シーズン)は、6勝17敗9分。J3の17チームで最下位に沈んでいた。巻き返しを図るべく、ギラヴァンツの玉井行人社長は、「中長期的な観点から、改めてチームの基盤づくりに取り組んでいく」ことを表明し、サッカー界では名指導者として名高い小林伸二氏を監督兼スポーツダイレクターに招聘した。小林監督は、徹底したフィジカル強化のためのトレーニングを実践し、2部練習を導入して選手にハードワークを求めた。
さらにシーズン前の選手補強においては、強豪・名門の大学や高校から有望選手を獲得し、シーズン中も他クラブから補強を進めるなど、強化・編成面でも積極的な活動を実践した。
フロントと現場が一体となったギラヴァンツは、リーグ戦開幕から4連勝し、Jリーグ加盟から10シーズン目にして初、JFL加盟時代の2シーズンも含めて、全国リーグではクラブ初となる首位に立つ。その後も好調さをキープしながら、第26節から6戦負けなしと上昇気流に乗った。
さらに第32節のホーム戦で讃岐に勝利し、J3の2位以上が確定。4シーズンぶりのJ2復帰が決定した。第33節、ガイナーレ鳥取戦で引き分けたものの、同節で2位藤枝MYFCが敗れたことで優勝が決定した。前年のJ3最下位から劇的復活をはたしてのクラブ初タイトルを勝ち取った。前年の最下位チームが翌年に優勝するのはJ1、J2、J3を合わせて史上初の快挙となった。
総得点数は18年シーズン22から19年は51と倍増以上となり、失点は18年42から19年は27と大幅に改善した。27失点は、リーグ最少でもある。
ギラヴァンツの大躍進は、フロント・現場とも危機感を共有し、対処的なチーム立て直しでなく、根本からチーム再生を実行することを決断し、ハードワークというシンプルで地道な強化が実を結んだ。来季は、16年シーズン以来のJ2復帰となり、スピード・フィジカリティそして戦略・戦法がより高度化することは必至である。Jリーグ史上初の快挙を成し遂げた戦力で、どこまで上位に食い込めるか、要注目だ。
資金難で迷走、ライジングゼファー フクオカ
ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)のB2西地区で戦う、ライジングゼファー フクオカ(以下、ゼファー)。2018-19シーズンは、BリーグのトップカンファレンスであるB1の西地区で戦ったが、12勝48敗で勝率.200。6チーム中5位でシーズンを終了した。さらにシーズン中に、ゼファー運営会社のライジングゼファーフクオカは1億8,000万円の資金ショートが表面化し、4月29日までに資金調達の見込みが明確にならなければ、最悪のケースで「リーグから撤退」もあり得た。
期限直前に、地元福岡に本社を置く健康補助食品製造・販売のやずやなどの支援によりリーグ撤退は免れたものの、B1ライセンスは交付されず、B2ライセンス交付となりB1から降格した。その影響で、主力選手のほとんどが退団し、戦力ダウンを余儀なくされた。
2019-20シーズンは、B2西地区から再スタートし19年9月21日に開幕を迎えた。1月20日現在、9勝25敗勝率2割6分台と低迷。6チーム中最下位と苦戦している。球団マネジメントは19年8月に代表が交代し、経営陣も一新された。ゼファーの再生は、今後資金的な基盤を構築できるかにかかっている。選手補強など編成のテコ入れが急務である。
J2残留したものの、……アビスパ
最後にJリーグJ2のアビスパ福岡(以下、アビスパ)。2018年シーズンまで4年間監督として指揮した井原正巳氏(現・J1柏レイソル・ヘッドコーチ)が退任。2019年シーズンは、新監督にイタリア・エラス・ヴェローナFC前監督のファビオ・ペッキア氏が就任し、新体制でのマネジメントに期待が寄せられた。
ペッキア監督のもと、主導権をもった組織的かつ攻撃的なサッカーを目指すも19年2月24日開幕(対FC琉球)から4戦勝ち星なしで苦戦を強いられた。さらにペッキア監督が6月3日付で退任、同日付でコーチの久藤清一氏が監督に昇格して采配を振るった。厳しいチーム事情のなかチーム一丸となって健闘したものの、42試合12勝22敗8分の22チーム中16位でシーズンを終えた。
課題であった得点力不足はシーズン中に解消されたとはいえず(総得点39)、失点が62と攻守とも不調に終わった。辛うじてJ2には残留したものの、クラブおよびサポーターとも満足いくシーズンではなかった。
11月25日に同じJ2の水戸ホーリーホックで指揮を執っていた長谷部茂利氏が新監督に就任。さらに強化部長には、柳田伸明氏が就任して体制を一新させた。
アビスパは、J2下位に甘んじていいチームではない。2020年は、組織的かつ攻撃的なサッカーに加えて選手が1対1の局面で必ず勝つハードワークの継続が求められる。これまで以上の過酷なトレーニングを追求していくことが先決である。
(了)
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