突然のサービス終了に戸惑うユーザーも~ウォンテッドリーに何が起こっているのか(後)
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ビジネスSNS「Wantedly」の企画・開発・運営を手がけるウォンテッドリー(株)(東京都港区、仲暁子代表)は、2010年9月設立。12年2月に会社訪問サービス「Wantedly(ウォンテッドリー)」(現・Wantedly Visit)のサービスを開始し、16年にはビジネスチャット「Sync(現・Wantedly Chat)」、業務効率化ツール口コミサイト「Wantedly Tools」、メディアプラットフォーム「Wantedly Feed」、名刺管理アプリ「Wantedly People」などを立て続けにリリース。17年9月には東京証券取引所(東証)マザーズに株式上場をはたした。
2月4日「Wantedly Chat」が4月30日で終了することが明らかになったのは既報の通り。さらには今週になって、新規アカウントの作成もできなくなっていることも判明した。何の前触れもなく突然サービスが終了することに、一部ユーザーからは驚きと戸惑いの声があがっている。
Wantedly Chat終了の理由は収益性の問題か
年々右肩上がりを続け順調に業績を拡大しているように見受けられる同社だが、なぜこのタイミングになってWantedly Chatサービスを終了することになったのだろうか。過去の有価証券報告書を読み解くとサービス終了を匂わせていたことは否めないが、理由は同社の掲げる経営方針であろう。
同社は今後の経営において対処すべき課題として、
(1)既存事業の収益機会の拡大および収益機会の創出
(2)システムの安定性の確保
(3)事業組織体制の強化
(4)情報管理体制の強化
(5)当社ブランドの知名度向上
の5つを挙げている。これらに照らし合わせると、現在の同社にとっては「既存事業の収益性拡大、創出」が第一命題であり、収益性が低く、新たな機会創出の難しいWantedly Chatは、事業を継続するにふさわしくないと判断されたものと推察される。現在同社が収益の柱としている事業は、Wantedly VisitとWantedly Peopleの2つ。当面はこの2つの事業を柱として、新たな機能を追加し、システムを安定させることで、利用者層の開拓、拡大を図っていくのが狙いだと思われる。
業績は年々右肩上がりも、サービス利用に一抹の不安
上場後直近3年間の業績は年々右肩上がりを続けており、19年8月期の決算は営業収益29億2,236万円、経常利益2億9,458万円、当期純利益1億4,649万円を計上している。20年8月期については、1月14日に発表した決算説明によると、営業収益34億5,000万円、営業利益、経常利益ともに3億1,000万円を見込んでいる。
なお、20年8月期第1四半期時点では営業収益こそ前年同期比12.9%増だが、営業利益、経常利益については前年同期比から減少。ただし、今後も引き続き投資を行いながら黒字を確保していくとのことで、現時点で業績予想の変更はないとしている。業績だけを見れば、今後も成長が見込める企業であることは間違いないだろう。
しかし気になるのは同社の企業体質だ。Googleで同社を検索すると、たびたび「炎上」というキーワードが挙がってくるが、これを見る限り、「都合の悪いところはなるべく見せたくない(見られたくない)」という企業体質が見て取れる。また、有価証券報告書を読み進めて改めてわかったが、突然サービスを終了していたのは今回のWantedly Chatだけではない。サービス提供時(特にWantedly People)は自社HPやほかの媒体などを活用して積極的にPRしているが、Wantedly Chat含め終了したサービスは共通して「いつの間にか」なくなってしまっている。
そして自社HPにもその旨が一切触れられておらず、有価証券報告書の沿革からも削除されてしまっている。「都合の悪いところはなるべく見せたくない(見られたくない)」同社の企業体質を示す最も顕著な例だといえよう。
前述の通り、業績だけを見れば今後も成長が見込める企業であることは間違いなかろう。しかし、今回のような突然のサービス終了、提供の打ち切りが続くようだと、今後同社のサービスを使用すること自体が懸念される。
実は、Wantedly Chat終了発表の数カ月前から、「携帯から写真を送信しようとすると画面がフリーズして送信できない」という不具合が生じていた。今思うとこれはサービス終了の予兆だったのだろう。当時はスマホの調子が悪いからと思って大して気に留めていなかったのだが、その後一向に改善されることはなかった。スマホを新機種に変え、再度ダウンロードを試みたところ、すでにアプリは入手できないという始末だ。
これまでビジネスシーンで使われる頻度の多かったWantedly Chatだが、サービス終了に関する経緯はもちろん、終了後のアフターフォローについては十分な説明がなされていない。こうした事態について同社は今後どのように対応していくのであろうか。
取材依頼をして、すでに1週間以上が経過しているが、同社から正式な回答はなく、2月11日に改めて同社に問い合わせたところ、「担当に確認して折り返します」と答えたきり。13日午前に再度問い合わせるも、出稿までに回答が来ることはなかった。
(了)
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