「ふくおか筑紫フードバンク」こども食堂のフードパントリーを応援中~エフコープ・西松建設との連携で子どもの居場所づくり(後)
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コロナ禍では、「フードパントリー(食糧庫)方式」でこども食堂の支援
取材当日、向かったのは、太宰府市にあるエフコープ太宰府支所。ここに「ふくおか筑紫フードバンク」あてに提供いただいた各社からのさまざまな食品が到着している。各こども食堂への配送センターとして機能している。各食堂の代表者がそれぞれのこども食堂へ自分たちで、集まった食材を持ち帰る仕組みだ。
ここでエフコープはできる限りの協力を行っている。支所での実際の仕分け作業、そして業務用の大型冷蔵・冷凍倉庫と必要なものを無償で提供しているのだ。
この日集まったのは、14食堂と1,100世帯相当分の食糧。内容は、お米、ジュース、鯨の大和煮、ラーメン、お菓子、ドレッシングとさまざまだ。この調達は、大谷氏が中心となって行っており、各こども食堂には事前にこれらの食材が来ることを知らせ、必要な分を申告してもらう仕組みだ。コロナの影響が本格化した3月以降、今回の配布で5回目となるが、約5,000世帯へ食材を届けた計算になるとのことだ。
集まった食材は、コロナの影響もあって、中止となった学校給食用のお米、空港・駅に陳列される予定だったお土産類も少なくない。何もなければ、これらはすべて廃棄処分となっていた。本当に、もったいない。コロナ禍のなか、「こんなときに何をやっているのだ」との批判もあったというが、こんな時だからこそ続けなくてはいけないのがこども食堂だ。流石に、食事を提供する形式では実施できないが、「フードパントリー(食糧庫)方式」を生み出し、通常とは違うかたちでの開催に漕ぎ着けた。地域の交流拠点機能を何とか維持していこうとしている。
次に向かったのは、「おおのじょうこども食堂みずほまち」。大谷氏が代表を務めるこども食堂だ。その場所は、西松建設(株)の社員寮「平和寮」だ。西松建設(株)九州支社の副支社長・松川政満氏(当時)がこども食堂の設立の新聞記事を読み、手伝えることがないかと大谷氏へ連絡。食堂の開催場所、食糧の保管場所に困っているとのことで、平和寮を使用することを提案し、社内の了解を取り付け、実施にこぎつけた。松川氏が退職した現在も、この事業は継続しており、当時より松川氏とともに事業を推進していた現場工務革新センターグループ長・多田哲氏がその責任者だ。
「会社は、薬院にあるのですが、寮・社宅ともに大野城にあります。そのため、当社にとっての地域といえば大野城です。企業の財産を使うことができるのか、セキュリティはどうするのかといった議論はもちろんありました。しかし、寮に住んでいる人全員が了承してくれ、強制ではなくやれる人がやれる範囲で手伝いをするというシンプルなルールでしたので続けることができたのだと思います。ご近所の方から名前で呼んでもらったり、一度西松さんの寮に入りたかったのよーという声を聴いたりすると、やってよかったなと思います」とのことだ。
通常であれば、食堂で子どもたちと食事を楽しみ、その後、本の読み聞かせや手品といった楽しいイベントも準備し子どもを楽しませる場に西松建設(株)の社員寮が変身するのだ。子どもたちもそれをわかってか、「ニシマツ行く?」と言っている。
この日は、フードパントリー方式での実施となる。エフコープ太宰府支所に届けられた食材などは、西松建設(株)の平和寮に運び込まれスタッフ約10人で約300世帯に仕分けしそして集まった人たちへ配布していく段取りだ。作業する人たちは子どもたちのために一生懸命だ。その思いが、子ども食堂の運営を支えている。
この日も、近所の子どもたちを中心に、親子連れや、年配のご夫婦などさまざまな年代の地域の方々が嬉しそうに、また、ありがとうの言葉とともにこの日の食材をもらって帰っていった。
各こども食堂は、子どもたちのためにと懸命に、楽しく運営を続けている。ふくおか筑紫フードバンクは、地域のNPO法人チャイルドケアセンターを事務局としてこども食堂とフードバンクの一体化運営をし、地域のつながりという新たなフレームを構築し進化を続けているのだ。
SDGsが経営の指標として大きく注目されるなか、具体的な取り組みとしてこども食堂の活用を検討してみてはいかがだろうか。
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