【縄文道通信第48号】「今なぜ縄文道なのか」―縄文道 ユートピア論―縄文道――武士道――未来道―今も息づき未来に活かせる(後)
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(一社)縄文道研究所
NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第48号の記事を紹介。
(1)技術「巧」の道
日本の現在の科学技術力の基本は、縄文時代に形成された。たとえば縄文人の約70%といわれるアイヌの「ものづくり」の繊細、緻密な手仕事の作品から、一目瞭然である。現在、東京・世田谷の日本民藝館で開催される「アイヌの美しき手仕事展」(開催日:2020年9月15日~11月23日)を見れば、納得できる。織物・装飾品・生活用具などの衣食住全般にわたって、現代の日本の技術力に反映されている。
(2)芸術の道
1951年11月7日に天才画伯の岡本太郎氏は上野国立博物館で縄文土器、土偶を見て、「これは何だ」と驚嘆した。日本美の原点は、縄文時代の縄文人がつくり出した作品に観られる。世界最大のオークショナーのサザビーズで、縄文土器が3億円で落札されたのだ。
漆文化を始め、日本の衣食住全般には縄文時代以来の美意識が反映されていると感じる。代表例が、世界的なファッションデザイナーの三宅一生氏がパリコレクションで縄文時代の巻頭衣を模して披露した「セッションワン」だ。三宅氏が数々の縄文遺跡を訪問して、縄文人の衣服からヒントを得たといわれる。(3)芸能の道
日本人には、能、歌舞伎、漫才、落語、歌謡曲などの伝統芸能があり、日本各地に展開される祭り―青森ねぶた、浅草の三社祭り、祇園祭などがある。また、芸事といわれる華道、茶道、香道など、それぞれの分野で頂点を極めると家元制度の元、師匠になることができる。
和楽器としては、三味線(津軽三味線)、和太鼓、尺八などあるが、縄文文化の故郷である青森のねぶた祭、音楽では和太鼓と津軽三味線のダイナミズムは強烈である。多くの外国人も和太鼓と津樂三味線の強烈な音の魅力に惹かれ、少しずつ世界中に広がっている。(4)武術の道
柔道、剣道、空手道、合気道、弓道といった多くの日本発の武術の道は、海外にも普及している。とくに近年、世界に広まって、女性にも護身術として人気があるのは合気道であり、世界全体で愛好者が約140万人いるといわれる。さらに武術の道で、基本の精神修養として重要視されているのは座禅である。武術を始める前に、精神統一の手段として座禅が取り入れられている。曹洞宗の開祖、道元氏が日本で始めた禅の修行として、座禅は世界中に伝搬している。
『武士道』を著した新渡戸稲造博士は、日本人の基本的な倫理体系を武士道と名付け、冒頭第1章は英語で「Bushido as an ethical system」 と書いた。『武士道』は、紀元前660年の神武天皇以降の神道、仏教、儒教の影響で形成された倫理体系の名著である。一方、縄文道として、紀元前660年より前から約1万4,000年にわたって武士道に影響を与えた源流、基層の精神性を著した。最後に、日本全土に広がる各地の郷土品のなかで、世界的に日本の美と匠の技術を表している8例の工芸品、装飾品を紹介したい。
(1)縄文土器、土偶:
サザビーズで3億円の落札。
(2)有田、伊万里焼き
江戸時代には、約450万点にもおよぶ磁器がヨーロッパの貴族に輸出された。
(3)生糸、西陣織
生糸は明治時代の3大輸出品。
(4)真珠
御木本幸吉の貢献―世界中に認知されている。
(5)和紙
現在バチカン美術館、ルーブル美術館でも、長期保存用に使用されている。
(6)料理用包丁、刃物
新潟三条、堺の包丁、刃物は世界的に有名で人気を博している。
(7)和食
今や世界遺産に登録され、健康食や美的なアレンジとして認知されている。
(8)日本酒
世界でもっとも健康で美味なお酒として、認知され始められている。フランスの高級ワインオーナーやドンペリの社長も日本酒とのコラボレーションを始めた。以上のように世界で縄文文化の価値が徐々に認められてきた。筆者は「縄文道」の普遍性と「武士道」の大和の道を相互補完で世界に伝搬することで、日本人のアイデンティティをよりわかりやすく伝搬できると確信する。
「縄文道」の英語での発信とともに、書籍の出版も視野に入れて、「縄文道」の普及に努めてゆきたい。(了)
Copyright Jomondo Kenkyujo
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