【稀代の変節漢】菅政権の〈切り込み隊長〉河野太郎大臣の正体
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弱者切り捨ての権力迎合男、河野太郎大臣
説明責任を果たさない菅政権(菅義偉首相)の姿勢は、日本学術会議問題でも辺野古埋立でも同じだ。朝日新聞が3日に配信した記事「菅首相、内閣記者会の所属の懇談会 朝日新聞は欠席」には、欠席の理由について次のように説明した。
「首相は日本学術会議の新会員に6人を任命しなかった問題をめぐり『法に基づいて適切に対応した結果です』と記者団に答えるにとどめています。朝日新聞は、首相側に懇談ではなく記者会見などできちんと説明してほしいと求めています。首相側の対応が十分ではないと判断しました」
過去の国会答弁では「形式的任命で拒否権はない」との法解釈が続いてきたが、菅政権になって法解釈変更の説明をせずに拒否権を行使、任命拒否の理由も「人事」を理由に明らかにしなかったのだ。オフレコが条件の「懇談」ではなく、記者会見で説明することを朝日新聞が求めたのは至極当然のことなのだ。
誰もが不可解と思う問題にきちんと答えない対応は、辺野古埋立でも同じだ。菅首相が「河野には、俺がやりたいことをやってもらおうと思う」「俺はつくる。ぶち壊すのは河野にやってもらう」と語り、〈斬り込み隊長〉役としてアピールする河野太郎・行政改革担当大臣(沖縄・北方対策担当も兼務)は9月19日、玉城デニー沖縄県知事らと県庁で面談。米軍「普天間飛行場」移設先である辺野古新基地埋立(移設)の断念を含む要望書を受け取ったにもかかわらず、一言も語ることをしなかった。
面談後の囲み取材でも基地関連の質問が出たにもかかわらず、河野氏は「沖縄の基地問題は、経済振興を考えるうえで避けて通れないと思う」と抽象論でお茶を濁して事足りた。そこで会見終了直後、「大臣、辺野古見直しについて一言。『地震で壊れる欠陥基地』と言われているが、行革の対象外なのか。国策はそのまま進めるのか」と声をかけたが、河野氏は無言のまま、エレベーターに乗り込んだ。
新基地埋立予定地に存在する軟弱地盤問題は、玉城知事が2018年11月に訪米した際にも米国政府に「このままではデッドロック(工事が進まない膠着状態)になるのは確実」と警告。莫大な工事費と工期がかかる恐れがあることは以前から懸念されていた(18年11月16日の本サイトの「訪米レポート〈3〉玉城県知事が訪米日程を終了~『このままではデッドロック状態』と警告」で紹介)。
破壊者から「権力迎合主義者」への変節
また沖縄県は「工事費は2兆5,500億円、工期13年」と見積もる独自試算を発表したが、これに対して安倍政権は19年12月になってようやく、従来の想定の3,500億円以上から3倍近い9,000億円程度かかることを認めた。しかも専門家からは、地震で護岸が崩れるリスクも指摘されていた。そんな欠陥基地建設の無駄遣いに対して、河野行革担当大臣はメスを入れようとしなかったのだ。
しかし9月17日配信の毎日新聞は、職務怠慢としか思えない河野大臣を評価する記事を出している。
「河野氏は『無駄撲滅』に心血を注ぐ合理主義者で、防衛相時代にはコスト高が指摘された陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の配備停止を主導。霞が関には『破壊者』(内閣府幹部)と恐れられる」
毎日新聞は“昔話”を紹介するだけで事足りるのではなく、かつて「無駄撲滅」に心血を注いだ「合理主義者」が、税金の無駄遣いを見て見ぬふりする「権力迎合主義者」に変節したことにフォーカスする必要があるだろう。
玉城知事から手渡された要望書には、こう明記されている。「辺野古新基地建設に反対する県民の民意は、過去2回の知事選挙をはじめ、一連の選挙において示され続けております。また、昨年2月に行われた辺野古埋立てに絞った県民投票においても、反対の民意が圧倒的多数で明確に示されたことは、極めて重いものであります」「県民の理解が得られない辺野古移設計画を断念すること」。
つまり、河野氏が「血税をどぶに捨てるに等しい辺野古埋立計画を見直す」と、無駄撲滅を宣言しない限り、「権力迎合型の非合理主義者」と批判されても仕方がないのだ。
【ジャーナリスト/横田 一】
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