話題を呼んだDeFi(分散型金融)市場(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
今年は、DeFi(分散型金融)が注目を集めた年である。しかし、暗号資産(仮想通貨)をよく知らない人にとっては、この言葉自体をほとんど聞いたことがないだろう。
DeFiには、既存のシステムとは異なり中央集権的な管理主体がなく、住む地域や経済状況に関係なく誰でもアクセスが可能であるため、従来の金融サービスにアクセスできなかった人々にも恩恵をもたらすことができ、金融の在り方を一変させる可能性を秘めている。保有する暗号資産を元手に融資を行うことができるサービスを展開するコンパウンド社は、新しいアイデアとしてガバナンストークンのコンプ(COMP)を発行し、暗号資産を預け入れる利用者にコンプを配布した。コンプの発行量は限られており、また上場を控えていたためコンプは短期間のうちに取引が過熱し、コンプの上場時の公募価格は暴騰した。
その結果として、ガバナンス強化より価格高騰を狙って、ステーブルコインを取得する人が増えた。すなわち、イールドファーミングの本格化である。
この勢いに乗って、コンプの価格は1週間で600%も上昇した。コンプ価格の高騰により、デポジットよりコンプ自体の値上がりを狙った投資に拍車がかかった。ヤーン・ファイナンス(Yearn Finance)も上記に類似したサービスを開始している。ヤーン・ファイナンスでは、利用者が暗号資産を預け入れると、最も収益性の高いレンディングサービスを利用できるよう、自動的に暗号資産を再配分(リバランス)してくれる。また、デポジットサービスを利用すると、その補償としてYFIトークンを受け取ることができ、利子とともに別のトークンを受け取ることができるイールドファーミングである。
このYFIトークンも上場し、デポジットの利子の収益よりもトークンの価格上昇を狙った投資が増えた。同様のサービスに参入した企業には、分散型取引所(DEX)であるユニスワップ(Uniswap)があり、同社は9月に1,100万ドル規模の投資の誘致に成功している。ユニスワップも自社のトークンUNIを発行した当日に、バイナンス、 フオビ(Huobi)などの世界的な暗号資産取引所(CEX、中央集権型取引所)に相次いで上場することになり、価格が暴騰した。
ユニスワップの取引高は8月30日に中央集権型取引所のコインベース(Coinbase)の取引高を超えており、ユニスワップひいては分散型取引所の規模が拡大していることがわかる。ユニスワップにはスワップおよびプールという機能があり、スワップではトークンを交換し、プールでは流動性提供を行うことができる。スワップでトークンを交換した場合、取引ごとに0.3%の取引手数料が徴収され、その手数料は提供した資産の額に比例して流動性提供者に配分される。
一方で、イールドファーミングの成長スピードが速すぎることに対して、市場では警鐘が鳴らされている。たとえば、発行初日に5,000億ドルを上回るデポジットを集めたが、サービス開始後2日目に失敗を宣言したヤムファイナンス(YAM Finance)というプロジェクト事例もある。イールドファーミングは開始直後、既存の金融サービスの限界を乗り越えられるサービスとして脚光を浴びていたが、後に投機の傾向が強くなった。このような状況下で、KIMCHI、SUSHIなどの食べ物の名前をつけたイールドファーミングも出現し、配布されたトークンを売却すれば、大きな利益を得られるものが流行し始めた。
しかし、DeFiサービスは、投資家が収益率のみを考えてむやみに投資しており、システムの脆弱性を狙ったシステム攻撃によりデポジットが流出するなどの被害も相次いでいる。また、DeFiの複雑な仕組みを完璧に理解することも簡単ではない。
DeFi市場は一連の事故の影響を受けて市場に対する警戒感が高まり、以前の勢いはなくなりつつある。(了)
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