夢は見るものではなく、叶えるものである!(1)
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(一社)日本シニア起業支援機構 代表理事 松井 武久 氏
コロナ騒動で世界の軌道は確実に一度止まった。「自然が人類のリセットボタンを押した」と言われているが、これから起こる大不況に関しては、IMFや世界銀行が厳しい予測を発表しても、多くの国民は実感として受け止める用意ができていない。今後、私たちはどのように生きて行くべきなのだろうか。
実務経験の豊富な産・学・官のシニアが、智慧と経験と人脈を最大限に活かすメンター(優れた助言者)として「起業の早期成功発展」を支援し、社会貢献を目指す(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)の松井武久 代表理事は、「今ほどシニア世代の活躍が求められるときはない」と語る。
コロナ保菌者を特定できれば、経済再生は設計可能
――今回のコロナ騒動をどのように見ていますか。
松井 私は、コロナ騒動で日本人は2つのことを学んだと感じています。
1つは、平時の日本は「世界一幸福な国」であることです。基本的には自由であり、大きな規制もなく、「日常的に手を洗う、うがいをする」などの国民の衛生に対する意識はとても高いと感じます。
また、発酵食に代表されるように、日本食は免疫力を高めるために相応しい食品が揃っています。そのような点では、日本は世界でも比較的進んだ国であることは間違いないと感じます。日本では、新型コロナウイルス感染症が爆発的に拡大しなかったことは、世界でも不思議だと見られています。
一方で、日本の非常時(危機時)のマネジメントは、「先進国のでなか遅れた国」であることがコロナ騒動で露呈しました。私の専門は総合的リスクマネジメント(EMP:Enterprise Risk Management)であるため、リスクを「環境変化」と定義しています。
リスクはプラスとマイナスの両面から総合的に考え、最大の結果を出すことが望ましいと考えています。企業でいう経営戦略そのものです。今回のコロナ騒動で最優先に行うべきリスクマネジメントは、「コロナ保菌者を迅速に特定する」ことでした。これは災害防止の常識であり、安全確保のための鉄則でもあります。
ところが、日本は、デジタル化の遅れも手伝って、初動時に医療機関と重症患者に焦点を当て、感染源である保菌者の特定と管理を軽視するという、大きなミスを犯しました。そのため、今でも日本全体で感染者数が減少していない状態です。
その結果、「恐怖観念」のみが先立ち、国が「感染危機」と「経済危機」の狭間で揺れていますが、これは最悪の事態です。なぜならば、重症患者の数よりも病状が現れないコロナ保菌者の数がはるかに多いためです。
政府は、新型コロナウイルスの検査を希望する人が1人残らず検査できるように、人と資金と技術を投入する必要があります。保菌者の特定は難しいことではなく、化学系研究機関(国立研究所、大学、企業など)や医療機関で対応が可能です。
検査対応数を拡大するためには費用がかかります。しかし、その対策を行わずに長引くコロナ感染を回避するために自粛要請を行い、その対価として補助金・支援金を払う費用、加えて感染を過剰に恐れることによる経済活動の停止から起こる経済損失とは比較にならないほど少ない費用です。
その結果、費用をアフターコロナに向けることができるようになり、「経済再生」を容易に設計することが可能になるのです。
(つづく)
【金木 亮憲】
<INFORAMTION>
(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)
実務経験豊富な産・学・官のシニアが、その智慧と経験と人脈を最大限に活かして、「起業の早期成功発展」をメンター(優れた助言者)として、社会に貢献することを目的に、経産省所管の(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)を前身に、2015年に設立された組織。
日本の人口構成の大部分を占めるシニア層が、年齢に制限なく生涯現役として活躍することで起業が容易になり、新規起業家が増え日本経済が発展すると同時に、シニア自身が生涯現役として生き甲斐をもった人生を送ることを目的としている。起業家に対してさまざまな支援活動を展開している。
<プロフィール>
松井武久(まつい・たけひさ)
(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)代表理事。技術士・技術経営研究センター 所長。1943年中国・青島生まれ。山口大学工学部を卒業後、66年三菱化成(株)(現 三菱化学(株))入社。機械技術関連の仕事に携わる。
88年同黒崎工場 エンジニアリング部長、97年三菱樹脂(株)生産技術部長、98年同取締役を歴任後、2000年三菱化学MKV(株)常勤監査役に就任。03年(独)農業生物資源研究所 非常勤監事、05年(独)農業環境技術研究所 常勤監事。09年(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)のリスクマネジメント研究会・事務局長、および未来農林事業開発研究会・会長を歴任。職業能力開発総合大学校、桐蔭横浜大学大学院の講師を務めた。関連記事
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