夢は見るものではなく、叶えるものである!(2)
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(一社)日本シニア起業支援機構 代表理事 松井 武久 氏
コロナ騒動で世界の軌道は確実に一度止まった。「自然が人類のリセットボタンを押した」と言われているが、これから起こる大不況に関しては、IMFや世界銀行が厳しい予測を発表しても、多くの国民は実感として受け止める用意ができていない。今後、私たちはどのように生きて行くべきなのだろうか。
実務経験の豊富な産・学・官のシニアが、智慧と経験と人脈を最大限に活かすメンター(優れた助言者)として「起業の早期成功発展」を支援し、社会貢献を目指す(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)の松井武久 代表理事は、「今ほどシニア世代の活躍が求められるときはない」と語る。
起業の早期成功・発展をメンターとして支援
――日本はもちろん、世界もIMFや世界銀行の厳しい予測を待つまでもなく大不況になると言われており、松井氏は「今ほどシニア世代の活躍が求められるときはない」と話されています。日本シニア起業支援機構(J-SCORE)とは、どのような組織ですか。
松井 日本シニア起業支援機構の英文名称は、J-SCORE(Japan Service Corp of Retired Executives)です。この英文名称に、私たちのコンセプトが含まれています。
SCOREは米国の民間団体で、50年以上にわたり純粋なボランティア精神に基づいて48州380以上の地域社会(2015年当時。現在はさらに拡大)で活動を続けています。
成功して第一線を退いた経営者、企業OB(Retired Executives)が「生涯現役」をモットーに、それまでの経験を活かして、「起業家(ベンチャー)を育てると国が豊かになる」という発想のもとにベンチャーを支援することを目的とした組織です。
メンター(優れた助言者)は、自らがその企業・団体の組織を豊かにしようという気持ちをもっており、全米に約1万2,000人(2015年当時)の「Mentor Business Counselor(メンタービジネスカウンセラー)」が活躍しています。
J-SCOREは、前身の経産省所管の(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)の解散にともない、米国のSCOREを範として、志を共有する有志の協力を得て、2015年10月に設立されました。実務経験豊富なシニアが、その智慧と経験と人脈を最大限に活かし、メンターとして「起業の早期成功・発展」を支援し、社会に貢献することを目的に設立されました。
J-SCOREはオープンイノベーションを標榜する各種研究会を開催し、ボランティアまたはコンサルタントとして人財・技術・営業の相互交流を図り、新産業を創出し、発展させるコミュニティです。
日本はバブル崩壊後30年、経済の低迷からの脱却ができず、少子高齢化が急速に進んでいるなか、コロナが日本経済のさらなる低迷に拍車をかけました。現在5%程度の起業家を10%に引き上げる施策が行われており、これは毎年10万件の企業数の増加を意味しています。
経済の着実な発展のためには、起業させることが第一義の目的ではなく、発展軌道に乗るまで起業家を育成することが目的となるべきだと考えています。そのためには、起業の成功に向けて起業家本人以上の熱意をもって取り組むビジネスメンターが数万人規模で必要になります。
望んだ成果を期待よりも安く提供するのが社会貢献
松井 J-SCORE会員は現在約100名です。自分で事業を起こしたい人が50%、事業を支援することに喜びを感じる人(メンター)が50%の構成比が理想ですが、現段階では、前者が80%、後者が20%の割合です。
寄付の文化が根づいている米国では、メンターがボランティアで社会貢献できるようにすべて企業および行政府の寄付・助成金で財政的基盤が支えられています。一方、日本は税制上の問題もあるのでしょうが、まだその状態には至っていません。
そこで、アメリカのSCOREの仕組みを基に日本社会に合うように、まずはコンサルを行って利益を出し、それを社会貢献に回していく仕組みを続けています。ここでいう社会貢献とは、「相手が望んだ成果を期待よりも安くできる」というイメージです。
シニアが生涯現役をモットーに社会貢献できる組織がJ-SCOREです。
私の考える生涯現役とは「死ぬまで自立して、他人に迷惑をかけない」ということです。技術をもっている人は技術、人事や経理を得意とする人は人事・経理、販売を得意とする人は販売という「人が喜ぶ」ことにそれぞれの知識を使ってほしいと考えています。私は「人と違う持ち味はどのような点か、自分はどのように社会の役に立てるのか」を常に考えるようにしており、J-SCOREをつくった背景には、自分でできることで社会貢献をするというビジョンがあります。
(つづく)
【金木 亮憲】
<INFORAMTION>
(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)
実務経験豊富な産・学・官のシニアが、その智慧と経験と人脈を最大限に活かして、「起業の早期成功発展」をメンター(優れた助言者)として、社会に貢献することを目的に、経産省所管の(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)を前身に、2015年に設立された組織。
日本の人口構成の大部分を占めるシニア層が、年齢に制限なく生涯現役として活躍することで起業が容易になり、新規起業家が増え日本経済が発展すると同時に、シニア自身が生涯現役として生き甲斐をもった人生を送ることを目的としている。起業家に対してさまざまな支援活動を展開している。
<プロフィール>
松井武久(まつい・たけひさ)
(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)代表理事。技術士・技術経営研究センター 所長。1943年中国・青島生まれ。山口大学工学部を卒業後、66年三菱化成(株)(現 三菱化学(株))入社。機械技術関連の仕事に携わる。
88年同黒崎工場 エンジニアリング部長、97年三菱樹脂(株)生産技術部長、98年同取締役を歴任後、2000年三菱化学MKV(株)常勤監査役に就任。03年(独)農業生物資源研究所 非常勤監事、05年(独)農業環境技術研究所 常勤監事。09年(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)のリスクマネジメント研究会・事務局長、および未来農林事業開発研究会・会長を歴任。職業能力開発総合大学校、桐蔭横浜大学大学院の講師を務めた。関連記事
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