夢は見るものではなく、叶えるものである!(5)
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(一社)日本シニア起業支援機構 代表理事 松井 武久 氏
コロナ騒動で世界の軌道は確実に一度止まった。「自然が人類のリセットボタンを押した」と言われているが、これから起こる大不況に関しては、IMFや世界銀行が厳しい予測を発表しても、多くの国民は実感として受け止める用意ができていない。今後、私たちはどのように生きて行くべきなのだろうか。
実務経験の豊富な産・学・官のシニアが、智慧と経験と人脈を最大限に活かすメンター(優れた助言者)として「起業の早期成功発展」を支援し、社会貢献を目指す(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)の松井武久 代表理事は、「今ほどシニア世代の活躍が求められるときはない」と語る。
社会貢献の最終目的は、「世界平和と国民の幸福の構築」
――松井氏の技術経営研究センター 所長、技術士としての活動とJ-SCOREはどのような関係ですか。
松井 (公財)日本技術士会とJ-SCOREの法人としての使命は明確に異なります。日本技術士会は日本技術士制度の普及、啓発を図ることを目的とし、技術士法に基づく、我が国で唯一の技術士による(公社)です。技術士にコンサルタント業務を斡旋することはありません。
J-SCOREは、コンサルタントとボランティア活動を通じて技術士を活かす役割を担っています。産・学・官の本格的な連携はまだ始まったばかりですが、コロナを機に急速に進むではないかと考えています。
技術士としての社会貢献活動の最上位の目的は「世界平和と国民の幸福の構築」です。歴史は変えられませんが、将来は変えられます。「将来のあるべき姿を地球全体に最適化する」ことを各国の共通目標に定め、国連を中心に総合的なリスクマネジメント(ERM)をすべきだと考えています。
今日のICT、AI、ロボット、生命科学、医療、宇宙などの技術革新は世界の経済発展に大きく寄与している反面で、環境汚染、自然破壊、兵器拡散に加え、グローバル化と自由貿易により、「貿易摩擦、貧富の格差拡大」などが起こっています。
そのため、2015年の国連総会で、30年までに達成する社会の目標として、SDGs(持続可能な開発目標)が全加盟国合意のうえで定められました。それまで、「世界平和」という言葉は多くの国民にとって漠然としたものでしたが、SDGsの17項目を達成することが世界平和に直接つながることが明らかになっています。
SDGsの目標には、感染症への対処、ワクチンなど医薬品の開発、災害時などにレジリエント(復元力の高い)なインフラ構築、差別の撤廃、廃棄物の大幅削減、貧困の解消などすべてのことが含まれています。
SDGs17項目を具体的な行動目標として尽力
松井 私はこれまで、下記に示す通り、SDGsに関連するさまざまな活動を国内外で行ってきました。
【SDGs目標4:教育】
<公正な質の高い教育、生涯学習>
国内では、大企業と比較して人材育成が遅れている「中小企業・個人事業主」、海外では、開発途上国を中心に教育・指導を行ってきました。技術交流会や講演などの活動を約20年継続しています。【SDGs目標6:水・衛生】
<水・衛生の持続的な確保・管理>
J-SCOREでは、飲料水と農業用水に関する研究とその普及活動を行っています。私は三菱化成、三菱化学、三菱樹脂で仕事をしていた時代に経験した、水の浄化技術(固形物の凝集・濾過、活性炭により有機物の除去、イオン交換樹脂による成分分離)、電気分解水の技術(水道水を電気分解し、弱アルカリ水と弱酸性水に分離)を活かして、安全な水を国内はじめ海外に普及することに注力しています。【SDGs目標7:エネルギー】
<安価で信頼できる持続可能なもの>
私は、化学会社時代にプラントエンジニアとして、長期的に安定な電力を得るために、安価な微粉炭、産業廃棄物、その他の有機物を燃料源とした発電所の基本設計・メーカー選定・建設を担当し、当時は新しい「流動床燃料炉とボイラー」を採用した経験があります。この経験をいかして「海流発電技術や太陽光発電技術の普及活動」を行っています。【SDGs目標8:経済成長と雇用】
<包括的かつ持続可能な経済成長、働き甲斐のある人間らしい雇用>
都会と地方の格差が大きな社会問題となっています。その是正のために、郷里である山口県、茨城県つくば市、岩手県岩手郡岩手町などで活動しています。また、海外の経済発展と雇用の促進支援として、「内モンゴル自治区の地方創生支援」をはじめ、ベトナム、ミャンマー、フィリピンなどの発展途上国への支援活動を展開しています。【SDGs目標15:陸上資源】
<生物多様性の保全、森林の経営、環境対応、土地劣化阻止・回復>
中国浙江省浦江県の環境改善の支援(「汚泥処理と生ごみ処理」の技術導入)や土壌改質技術の普及活動などを行っています。【SDGs目標16:平和】
<持続可能な開発のための平和で包括的な社会の推進、包括的な制度の構築>
寧海県(中国浙江省)との友好を促進し、2018年の秋には、日本が初めて主賓国となった「第25回中国・楊凌世界農業ハイテク成果博覧会」にJ-SCOREとして参加し、日本の優れた農業技術・製品が会場の注目を浴びました。また、2018年には「日本技術士会(海外活動支援委員会)と山東省(青島市)との技術交流会」に参加し、排水処理技術などの指導を行いました。今後も引き続き、「世界平和と国民の幸福の構築」実現のために、SDGsを具体的な行動目標にして尽力して行きたいと考えています。具体的な活動計画としては、「中小企業の収益性向上への支援」「山村地域の持続可能な地方創成への支援」「中国との友好促進に関する活動」「アジアの発展途上国への支援活動」などを考えています。
(つづく)
【金木 亮憲】
<INFORAMTION>
(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)
実務経験豊富な産・学・官のシニアが、その智慧と経験と人脈を最大限に活かして、「起業の早期成功発展」をメンター(優れた助言者)として、社会に貢献することを目的に、経産省所管の(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)を前身に、2015年に設立された組織。
日本の人口構成の大部分を占めるシニア層が、年齢に制限なく生涯現役として活躍することで起業が容易になり、新規起業家が増え日本経済が発展すると同時に、シニア自身が生涯現役として生き甲斐をもった人生を送ることを目的としている。起業家に対してさまざまな支援活動を展開している。
<プロフィール>
松井武久(まつい・たけひさ)
(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)代表理事。技術士・技術経営研究センター 所長。1943年中国・青島生まれ。山口大学工学部を卒業後、66年三菱化成(株)(現 三菱化学(株))入社。機械技術関連の仕事に携わる。
88年同黒崎工場 エンジニアリング部長、97年三菱樹脂(株)生産技術部長、98年同取締役を歴任後、2000年三菱化学MKV(株)常勤監査役に就任。03年(独)農業生物資源研究所 非常勤監事、05年(独)農業環境技術研究所 常勤監事。09年(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)のリスクマネジメント研究会・事務局長、および未来農林事業開発研究会・会長を歴任。職業能力開発総合大学校、桐蔭横浜大学大学院の講師を務めた。関連記事
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