世界平和に向けて(14)外国人技能実習制を活用する受入企業の真意と実態〜「ガトーフェスタ ハラダ」洋菓子の(株)原田(前)
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今回のコロナ禍で、外国人技能実習制度(以下、本制度)について知ったという人は意外と多いのではないか。本制度の目的は、開発途上国への技術・情報提供を基にした社会貢献事業であるが、中小企業を中心に人材不足を補完するための制度となっているのが実情だ。本制度を利用し、ベトナムを中心に実習生を招き入れ、洋菓子の製造・販売業を行っている(株)原田に話を聞いた。
外国人技能実習制度とは?
本制度は、日本が先進国としての役割をはたしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術または知識の開発途上国などへの移転を図り、開発途上国などの経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としている。
本制度は、およそ1960年代後半から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度を原型として、93年に制度化されたもの。外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主などの実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能などの修得・習熟・熟達を図る。
実習期間は最長5年とされ、技能などの修得は技能実習計画に基づいて行われる。国内の外国人労働者146万人のうち30万8,489人(2019年10月厚生労働省調べ)が、この外国人技能実習生に該当する。
16年11月28日に公布され、17年11月1日に施行された「外国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)」に基づいて、新しい制度が実施されている。
国際貢献事業と人材不足解消に向けて
(株)原田は、群馬県にて1901年に創業、119年の歴史をもつ。創業時は和菓子業を営み、その後は洋菓子業、製パン業を手がけ、フランスパンを素材としたラスクの販売に着手。百貨店を中心に口コミが広がり、日本全国で幅広い年齢層から支持を得ている。現在全国で約30店舗を展開し、従業員数は約1,000人。
原田専務取締役・原田節子氏によれば、本制度を知ったきっかけは知り合いの経営者からの紹介だったという。
原田は社会貢献事業として、ピアノコンサート、ジャズコンサートなどを主催しており、「外国人技能実習生として3年間、原田のパン製造業務に従事し、地域社会との交流で日本文化とふれあうことで、帰国後に日本での経験を活かしてもらえばという思いがありました」(原田氏)といい、国際的な社会貢献事業として本制度の活用に踏み切った。また、原田氏は「当社としても、若い労働力である外国人技能実習生を迎えられることも、その理由の1つです」と語った。
中小企業の人材不足が大きな問題となり、従業員のみならず後継者の不足にもつながっており、それらは廃業や倒産する会社が急増している要因の1つとも言われている。原田では、人材不足は経営に支障をきたすほどの問題になってはいないが、多くの中小企業は「人材不足解消」を第1の理由として、実習生を受け入れているのが実情ではないか。
(つづく)
【麓 由哉】
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