【福岡県に緊急事態宣言】菅政権のコロナ禍対策がGoToよりGoTe(後手)の悲劇 始まる中洲の大量廃業
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「緊急事態宣言」は菅政権の敗北宣言
まずは敗北宣言から始めるべきではないのか。新型コロナウイルスの感染拡大防止について「先手で対応する」と強調してきた菅首相の意気込みに反し、現実はまさに「後手」の対応に終始している。昨年11月25日に、「感染を抑えられるかどうかの勝負の3週間」と大見えを切ったにもかかわらず感染確認数は拡大の一途だ。政府があえて勝ち負けで表現したことにならえば、完膚なきまでに叩きのめされて大敗を喫したことになる。
しかし年明け、菅首相の口から飛び出したのは「年末年始は陽性者が少なくなると考えていた」という根拠不明の、もはや妄想にも似た希望的観測だった。当然、「勝負の3週間」について詳細に検証して今後の対策に反映させる気配もなく、ついに今日(13日)、福岡県を含む7府県で昨年4月に続く2回目の緊急事態宣言を出すところまで追い詰められた。期限は2月7日までで、7府県に首都圏の4都県を加えた11都府県が緊急事態宣言の対象地域となる。
小川知事、官僚あがりの限界
福岡県においては、小川知事がコロナ禍対策でほとんどリーダーシップを発揮していないため、県議会関係者から「自分の責任で決めることができない。官僚あがりの限界」という声も出始めている。九州では宮崎県が独自の緊急事態宣言に踏み切ったなか、県内の医療体制がひっ迫した状況にあることを知りつつ8日の会見で「(政府に対する宣言要請の)今、まさに正念場」と断言した小川知事。たった5日後に緊急事態宣言の対象地域に入ったことは「お前は引っ込んでいろ」とダメ出しされたかたちで、「やむをえない」とコメントしたのが精一杯だった。
緊急事態宣言は、コロナ禍で一貫して「悪玉」に名指しされてきた夜の店(飲食店)に対する規制がメイン。居酒屋や喫茶店、バー、スナック、カラオケ店などの営業時間が午後8時までに短縮され、酒類の提供は午前11時から午後7時までとなる。時短要請に応じた事業者には、1店舗あたり1日6万円の協力金が支給される。新型インフルエンザ対策特別措置法が政令改正されたため、時短に応じない飲食店などの店名を公表できるようにもなった。一方で、小中高校などへの休校は求めない方針で、症状の出にくい子どもたちを介した家庭内感染が広がっているという指摘もあるなか、学校には手を付けずに夜の店を重点的に規制する合理的説明はないままだ。
時短要請には応じない
西日本を代表する歓楽街「中洲」界隈では、稼ぎ時の12月から1月にかけて売上を立てられなかった飲食店がほとんど。ただし1日6万円の協力金は店ごとの営業状況を細かく把握しない乱暴な金額設定で、ほとんど店を開けていない幽霊店舗でも受給できる大盤振る舞いの一面もあるという。こうした補償で放出した税金は今後、たとえば「コロナ税」などの名目で改めて搾り取られることになる。
中洲の客足はすでに「コロナ前」の半分以下にまで減っており、もし宣言が延長されれば大量廃業が始まるとみる関係者は多い。追い詰められたあげく、「時短要請に応じないことで店名が公表されるなら、逆に宣伝になる。(午後8時で)閉めるつもりはない」と話す店主もいる。無理もない。政府はつい1カ月ほど前まで、旅行に行け!(GoToトラベル)、外食しろ!(Gotoイート)と国民の尻を叩いてきたのだ。手のひらを返して「店を開けたら潰すぞ」(店名を公表する)と脅しにかかるのは、あまりにも理不尽にうつる。
【中洲クライシス取材班】
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