【市議座談会】2021年の福岡市政の課題とは〜コロナ禍で見えにくい失業者、生活困窮者への支援を(前)
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福岡市民クラブ代表の田中しんすけ氏(4期、中央区)、福岡令和会幹事長の浜崎太郎氏(博多区、3期)、自民党市議団政調会長の調崇史氏に、福岡市の昨年からのコロナ対策、今年の市政の課題について語ってもらった。座談会では市の対応の早さなどに一定の評価をしつつも、失業者、生活困窮者がますます増えていくことが懸念されるなか、より一層踏み込んだ施策を行い、市民の生活を支援していくことなどが提起された。
――昨年の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、どのような取り組みを行いましたか。
田中 (昨年)2月20日に福岡市内で最初の感染者が確認され、市議会はそれ以降コロナ一色になり、対策を講じることで多忙を極めました。議会は4月、5月に臨時議会を召集しましたが、私の4期14年の議員生活で初めての経験でした。臨時議会の召集は、福岡市として早く対策を実行することを議会が主体的に呼びかけたいという思いによるものです。
福岡市は飲食店の家賃の支援策など独自の緊急支援策を打ち出しており、市民からは全国的にみても早く打ち出したことが非常に心強かったと評価されています。
ただ、もっとも大事なのは支援の仕方であり、市が当初提起した「暮らしを支える」というメッセージを貫徹できているか検証していく必要があります。2月にも最後の補正予算案の審議が行われますが、とくに国からの臨時交付金など財源に関して出し惜しみせずにしっかり執行できたどうかを検証しないといけません。
浜崎 福岡市がいち早く声明文を出したことは評価しています。安倍総理が緊急事態宣言を発出した後、各地方自治体の長による声明文が待たれる状態で、当時市民が自治体はどうするのかと思っていたなかで、市は県の前に方向性を打ち出しており、近隣市町村の市民からも福岡市だけ早いという声を多く聞きました。内容に関しても各会派からの要望書について一定程度反映していたと思います。家賃の支援策に関しては、不十分という意見はあったものの、市民が非常に不安に感じているさなかに早く方向性を出し、やれる範囲のことを行ったたことは非常に良かったと思います。とはいえ、より大事なことは、早さではなく、充実した内容の施策を的確に実行できたかということです。
なお、持続化給付金の制度に関しては、商店の皆さん、とくに60〜80代の高齢の店主らが当初は申請に非常に手間取っており、私たち議員でボランティアを募って、商店街のアーケードのなかで、地域の会計士、申請済みの事業者に手伝ってもらい、手助けしました。その後、国が各自治体に申請センターを設置してからようやく落ち着きました。
調 家賃支援策などは福岡市が先に取り組んだことで、国が後に続いたという側面があると思います。高島市長のこの反射神経的な対応は実際に市民からも大変歓迎されており、就任して10年経ちますが、持ち味は健在だと感じました。
市長はコロナ支援策の最初の打ち出しのときに、やれることは全部やると話していますが、現在の第2回目の緊急事態宣言においてもやれることがまだあるはずと思っています。経済対策のうち家賃支援に関しては、予算76億円のところ35〜36億円が残っています。途中で不足するという事態に陥らないように余裕をもたせて予算を組んでいるため致し方ないことであるのですが、使えるものは早く使うべきだと進言しています。
飲食店への支援がとくにクローズアップされ、飲食店にしか支援がなされていないという批判は当然あります。自治体に財源がある以上、国の支援が行き届いていないところに使ってほしいです。支出するつもりで用意したものを手元に置いておくのは道理に合いませんので、即執行すべきだと思います。費目が商工費の1点に絞られていて、これには営業の時短要請を受けていない事業者も含まれます。たとえば、まちの弁当屋、喫茶店、さらにはテイクアウトの業者も含めて支援してよいのではと思っています。
田中 飲食店の対応も早くて、居酒屋は営業を昼間から始め、午後8時まで営業、ラーメン屋は昼と夜の間の休憩をなくし、午後8時までずっと営業というように、各事業所が努力をしています。
浜崎 居酒屋で、午後4時から酒類を提供するように変えたところがありますが、お客は午後6時になってからしかこないため、1時間しか提供できないと話しています。営業開始時間が早まっただけで、あまり変わらないと思います。
調 メディア、市役所、議会とも緊急事態を一度経験して、コロナについて良くも悪くも慣れてしまっており、支援の姿勢がトーンダウンしていると感じています。しかし、実際にはコロナが長期化していくなかで、「ここで再び落ち込むのか」と相当に苦しんでいます。
市長は第1回目の緊急事態宣言のときは本当によく話を聞き、タイムリーにいろいろと手を打ったと思います。この2回目の緊急事態宣言においても、市民の声を拾い、しっかり執行することが大事だと思います。国の3次補正で臨時交付金が1兆5,000億円計上されており、それを使って何か大きな手を打ち出し、「福岡市はやります」というメッセージを出してもらい、前向きに頑張ろうという雰囲気をつくってもらいたいと思っています。
(つづく)
【茅野 雅弘】
<プロフィール>
田中 慎介(たなか しんすけ)
1978年生まれ。福岡県立筑紫丘高校卒業、九州大学法学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間会社勤務を経て、2007年に福岡市議会議員初当選(中央区、現在4期目)。19年福岡市民クラブ代表に就任。
URL:https://www.tanakashinsuke.jp/
浜崎 太郎(はまさき たろう)
1967年生まれ。福岡県立武蔵台高校卒業、米国サウスイースト・ミズーリ州立大学経済学部卒業。民間会社勤務、社会福祉施設の施設長を経て、11年に福岡市議会議員初当選(博多区、現在3期目)。19年福岡令和会幹事長に就任。
URL:https://hamasakitaro.com/
調 崇史(しらべ・たかし)
1978年生まれ。福岡県立修猷館高校卒業、九州大学法学部卒業。民間会社勤務、元福岡市長秘書を経て、11年に福岡市議会議員初当選(城南区、現在3期目)。19年自民党市議団政調会長に就任。
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