中洲の灯は絶えない(6)シリーズを取材の結果、「中洲の灯は絶えない」は不滅の真理
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中洲の歓楽地は廃れない
昔、博多の古老から聞いたことを思い出した。「昭和20年8月15日、終戦日の夜のことだ。『これで酒が自由に飲めるぞ!』と中洲を走り回る若者一党がいた」との証言である。どんな強力な権力を振るったとしても、中洲の歓楽地が廃れることはないということだ。
昭和20年、1945年8月を出発点にしてみよう。その後、朝鮮戦争、ベトナム戦争、オイルショック、2度のバブル崩壊があったが、半年程度の落ち込みはあっても急回復を繰り返してきた。ロイヤルボックス・藤堂和子ママが中洲水商売50年の蓄積を背景に語った言葉、「この50年間、幾多の経済不況が襲ってきたが、半年もしないうちにお客は戻ってきた。中洲は不滅よ!」が印象に残った。
コロナ蔓延にもくじけない
非常事態宣言で店を閉めるケースが続出している。表向き中洲の通りが閑散としているのは当然であろう。政府の休業補償もあり、あまりバタバタした様子は表面上、見られない。昨年も2カ月間、中洲全体がお休み状態となった。営業再開してからはピーク売上の80%まで回復したそうだ。やはり人間というものは「中洲の歓楽街から離れることができない習性を持っている」のであろう。
スナック経営者3名の対談からも、彼らの中洲への愛着と商売への強い意気込みがわかる。まずは「中洲で稼ぎ出してみせる」という絶対的な自信に満ち溢れている。本当に逞しい。コロナに屈した方々には、彼らの元気さを盗み取っていただきたい。最後は「自力で生きるしかない」のである。
中洲の経営者たちは、まさしく菅首相の持論である「自助」を背負った集団だ。彼らに配慮して温かい支援をもう少し強化すべきであろう。3名とも「コロナ蔓延は永遠ではない。いずれ休止するはず。そのときまで悠然とした気持ちをもとう」という心境である。一般マスコミの関係者たちは「中洲の灯は絶えて廃業続出」を期待しているが、そんな軟ではない。
若手が独立に燃える
どこの世界にも世代交代が起きるのは世の常なり。中洲の世界でもコロナ蔓延にくじけて廃業を決断した老ママたちが続出している。問題なのはこの跡継ぎが現れないことである。であれば、深刻な事態である。間違いなく「中洲の灯は絶える」ことになる。ところが、若手の中洲ホステス従事者であったやる気満々の女性たちの独立がブームになっている。まずは「10坪程度の店から開業」と毎晩、新規オープンがなされている。
生涯現役を貫く中洲の魅力
79年からスナックオーナーになって半世紀を経験したS氏は、「死ぬまで生涯現役を貫く」と宣言している。年上の先輩がまだ現役で活躍していることに接して、刺激を受けていることもある。本音は「中洲から1カ月離れたら身体・精神ともども壊れる」ことを懸念しているのである。
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