2024年11月24日( 日 )

【長期連載】ベスト電器消滅への道(17)問われるヤマダ電機の真価(1)

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 かつて家電業界で日本一の売上高を誇ったベスト電器がヤマダ電機に完全に吸収された。なぜ、このように消滅するという事態になったのか!当社は長期にわたってベスト電器に関する記事を掲載してきた。今回の連載では、ますベスト電器によるビックカメラとの合併の試みの破綻、ヤマダ電機による買収の歴史を遡ってみた。つづけて、比較検討対象として、ユニード、寿屋というほかの地場有力企業の挫折について振り返り、没落していく企業には内部の腐敗、戦略の欠如といった問題が散見されることを確認した。最後に、家電業界に君臨するヤマダ電機が行っている組織の再編、戦略をみていく。

   家電量販店最大手のヤマダ電機は、昨年10月に持株会社体制へと移行し、ヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)に社名を変更、家電・情報機器の販売および住まいに関する商品の販売事業を子会社であるヤマダデンキが承継した。

 さらに、ヤマダHDは今年1月、グループ組織の再編成に乗り出した。ヤマダデンキを存続会社とし、ベスト電器、九州テックランド、Project White(通称社名:TSUKUMO(ツクモ))、マツヤデンキ、星電社、黒川デンキおよび非連結子会社である加藤商事(株)を合併することになった。

 ヤマダHDは、家電をコアに生活インフラとしての「暮らしまるごと」をコンセプトに据え、これまで「家電」「住宅」「環境」「金融」「サービス」の5つの事業を展開し、暮らしに関わる需要の取り込みを図ってきた。今回の新体制は、各セグメントによる主体的な事業活動を促すとともに、グループ全体の経営効率・ガバナンスをより一層高める狙いがある。

 家電セグメントにおいては、子会社のノウハウ・経営資源を集約、本合併に合わせて北海道から九州まで全国を11地域に分ける社内分社制を導入し、営業面や業務処理面で効率性をさらに高めていく。

 住宅セグメントでも、ヤマダHDの完全子会ヤマダホームズが(株)ヤマダレオハウスと(株)ヤマダ不動産を吸収合併。そのうえで中間子会社として、(株)ヤマダ住建ホールディングス(以下、ヤマダ住建HD)をヤマダHDの完全子会社として設立、(株)ヤマダホームズ、(株)ワイ・ジャスト、(株)家守りホールディングスの住宅3社をヤマダ住建HDの子会社にする。

 また、金融セグメントの再編も行い、ヤマダHDの子会社である(株)ヤマダフィナンシャルと(株)ヤマダ少額短期保険、(株)ヤマダライフ保険で株式譲渡を実施し、ヤマダHDの完全子会社である(株)ヤマダファイナンスサービスの子会社にする。

 さらに、ベスト電器の完全子会社ベストサービスの子会社の(株)リペア・デポを、ヤマダファイナンスサービスの子会社に再編し、ベスト電器の完全子会社(株)ベストクレジットサービスをヤマダファイナンスサービスに吸収合併する。

  環境セグメントでは、ヤマダHDの子会社である(株)シー・アイ・シーとインバースネット(株)、東金属(株)で株式譲渡により、ヤマダHDの完全子会社である(株)ヤマダ環境資源開発ホールディングスの子会社に再編する。

(つづく)

【西川 立一】

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