韓国ネット通販クーパン、米証券取引所への上場申請を発表(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国ネット通販「クーパン」は12日、米国ニューヨーク証券取引所に上場申請したことを発表した。米国の『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、クーパンの上場後の企業価値は、500億ドルに達するだろうと予測した。もし、そのような企業価値が実現されれば、海外企業による同証券取引所でのIPOとしては、2014年の中国のアリババ・グループ・ホールディングについで最大規模となるという。
クーパンの創業者キム・ボムソク
「クーパン」の議長を務める創業者のキム・ボムソク氏は、大学卒業後にボストンコンサルティンググループに就職。その後、起業、バイアウト、MBA取得などに励み、2010年に韓国に戻って、13年に資本金30億ウォンでクーパンを設立し、今に至っている。
キム議長は幼時期を主に海外で過ごした。中学生だった1994年に米国に渡り、ハーバード大政治学科に入学した。当時、米国で人気だったオンライン共同購入方式「グルーポン」を見て、自営業者が多い韓国にも似たサービスを導入すれば成功するだろうと考えて起業に至ったという。
クーパンは設立後の8年間、赤字を免れなかったが、その売上高は急速に増加した。2014年には「ロケット配送」を公開し、15年には売上高1兆ウォンを超えた。昨年の売上高(連結財務諸表基準)は約13兆ウォンにのぼる。
クーパンの強み
クーパンは24時間以内のロケット配送を売りにして韓国で急激に利用者を増やし、韓国では米アマゾン・ドット・コムの競合と見なされほどの成長を遂げている。
クーパンの強みは、何と言っても、他社の物流システムに頼らない自社の物流システムを構築している点だ。物流システムの構築には莫大な投資がともなうが、クーパンが莫大な投資を敢行した結果が徐々に表れている。韓国の済州島までカバーできる物流システムを構築済みであり、「クーパンマン」と呼ばれる自社所属の配達員の親切で丁寧なサービスには定評がある。
自社の物流網を完備することなしでは、ロケット配送を実現できない。今後は、ロケット配送に加えて当日配送などのサービスも追加予定である。
クーパンは物流にこだわっている一方、企業のIT化にも力を入れている企業である。クーパンのIT開発者は約2,000人で、中国上海と米シリコンバレーなどでソフトウェアを開発している。クーパンは財閥企業が主導権を握っている韓国市場でベンチャー企業として創業し、流通の歴史を10年間で変えてきた。また、ユニコーン企業に成長したのみでなく、米国の証券取引所に上場するまでになった。これから第2、第3のクーパンが韓国で誕生し、韓国企業が世界で羽ばたくことを祈りたい。
クーパンが上場したことによって、明らかになったことの1つはキム議長の報酬である。キム議長は昨年、給与として88万ドル(約10億ウォン)を受け取っていたようだ。会社は赤字である一方、巨額の報酬をもらっていたという事実に韓国人は違和感を覚えている。
キム議長はアメリカ人で、役員は2人を除いて外国国籍をもっており、クーパンの企業文化はアメリカナイズされているようだ。
(了)
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