2024年11月18日( 月 )

代理戦争の萩市長選~河村建夫元官房長官の弟が現職を破り初当選

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 16日に告示された萩市長選は元県議で新人の田中文夫氏(72歳)と再選を目指す現職の藤道健二氏(61歳)との一騎打ちとなった。

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◆21日の投開票の結果は下記の通り。衆議院山口3区選出の河村建夫元官房長官の弟である新人の田中文夫氏が現職の藤道健二氏に挑戦し、林芳正参議院議員と河村衆議院議員との代理戦争は河村派が勝利した。

万歳三唱する田中氏と河村元官房長官

~代理戦争の経緯について~
◆14日告示された萩市長選で、衆院3区への転身が取り沙汰されている岸田派の山口県選出の参議院議員の林芳正元文部科学相(60歳)の陣営は現市長を支援。
・一方、同区現職で二階派の河村建夫元官房長官(78歳)の陣営は実弟の新人田中文夫氏を後押しする。全面対立の構図が鮮明となった。
・「萩は相手の本丸。この象徴的な場所を取れば発信力が違う」。林氏派のベテラン県議は河村氏の地元での首長選の意義を強調していた。
◆昨年、3区内であった美祢と宇部の市長選は林氏が支援した候補者が当選。藤田剛二山陽小野田市長も林氏に近い存在。3区内の有権者の8割を占める3市を押さえたうえに、相手の戦意をくじくにはまたとない舞台と捉えていた。 
◆萩市の藤道健二市長は4年前に林氏の地元後援会の支援を受けて初当選した。昨年12月の事務所開きには、林氏を応援する自民党県連常任顧問の柳居俊学県議会議長、公明党県本部や連合山口のトップらが出席。林氏も「必勝」の為書きを寄せるなど、衆院選本番さながらの緊迫感が漂っていたという。
◆一方の河村陣営は、実弟で元県議の新人田中文夫氏の選挙戦を静観する姿勢を示し、昨年11月の事務所開きに河村氏は出席しなかったが、選挙が近づくにつれ、陣営幹部は「現職側が派手にやっており、代理戦争にはしたくなかったが、勝敗の影響は大きい。絶対に落とせない」と本腰を入れ始めた。 
・3月に入り河村氏の長男で秘書の建一氏(45歳)が地元での動きを本格化。田中氏と辻立ちしたり、精力的に支援者を訪問。派閥を率いる党の二階俊博幹事長からも「しっかり回れ」と檄が飛んだという。
◆昨年9月に林氏が3区に転身する意向を固めたという一部報道が流れると、10月に河村氏が宇部市で開いた総決起大会には二階氏をはじめ二階派の国会議員20人が集結。二階氏は「売られた喧嘩という言葉がある。党公認は現職優先」と公言し、林氏をけん制している。
・関係者によると、林氏は昨年末に衆院山口4区内の下関市から3区内の宇部市に住民票を移し、年明けに古賀誠元幹事長、青木幹雄元参院議員会長に転身の意欲を伝えたといわれる。

<まとめ>
 この代理戦争を制したのは河村派の田中文夫氏。一番喜んだのは自民党の二階幹事長であろう。もし田中氏が敗れた場合、二階派は大きなダメージを受けていたからだ。この代理戦争を勝利したことにより、二階幹事長の政府への発言力は維持されそうだ。
 秋までに実施される衆議院選前、河村議員が高齢理由に引退を表明し禅譲するのではないかとの淡い期待が林派にはあったものの、次の山口3区の衆議院選挙は代理戦争ではなく、【表2】、【表3】のように、一矢報いた河村氏と林氏との仁義なき戦いとなりそうだ。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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