スエズ運河コンテナ船座礁事故で考えること~「栄光の大国」エジプトの再起はない
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正栄汽船(株)(愛媛県今治市)所有の大型コンテナ船(全長:約400m)がスエズ運河で座礁した事故により、原油が高騰する動きが出てきた。事故処理にはかなりの時間がかかるようであり、海運会社も原油を取り扱う業者も莫大な被害を受ける様相を呈してきた。加えて、運河の通行料に頼ってきたエジプト政府にとってもその収入が途絶えれば、国家財政に悪影響をおよぼすのは間違いない。
ドル箱事業に設備投資するのは常識のはずだ
スエズ運河の脆弱さが改めて露呈したといえる。現在、運河の距離は193㎞であるが、深さは24m、川幅は205mしかなく、船舶の大型化が進み座礁のリスクは高まっていた。下記の動画と資料(「タイ運河総合開発計画」)を参照してもらいたい。タイ運河は川幅3㎞、深さ40mで運用開始から150年以上が経過しているが、旧態依然の状態を放置していたのではないか!
スエズ運河の総収入は年間6,000億円といわれており、その収入のすべてをエジプト政府が管理している。この売上は他業種でいえば粗利にあたり、エジプトの外貨収入源の60%をこの通行料で賄っているといわれている。そうであれば、運河を現在の片側通行から相互通行にする拡張工事になぜ、着手しなかったかという疑義の念が高まる。運河で船の往来が可能になれば、収入が1兆円を超えることは間違いないのであるが。
一度、国が衰退すると再度の勃興は無理なのか!
5000年前(紀元前3000年)のエジプトの文明や国力は当時世界の先頭を走っており、ピラミッドを建設するなどの実績を残しているが、紀元前1000年を下り紀元前30年になるとローマ帝国によって植民地化された。以降、イスラム教の勢力下に入り、近世はイギリスの統治を許すことになった。1955年、エジプト独立派がスエズ運河の管理権を奪回した。しかし、独立後のエジプトは精彩を欠いている。栄光の時代がいつ到来するのか、定かではない。
<タイ運河総合開発計画>
タイ国王から開発の承認を得たDEVNET INTERNATIONALが推し進める開発計画。 タイ運河はクラ地峡(クラちきょう)を横断する全長108kmの運河となる。東のインド洋と西の太平洋を結ぶ運河となり、海上交通が今後ますます逼迫するマラッカ海峡を補うものとなる。タイ運河の開通によって、現在の航路は1,200km短縮され、時間にすると2日~5日の短縮が可能となる。加えて、2,260km2の土地が総合的に開発され、人口2,000~3,000万人の居住地も生まれるという。
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