ストラテジーブレティン(282号)これから日本をめぐる空気が一変する(前)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は2021年6月6日付の記事を紹介。日本の突出したコロナ禍の経済負荷、心理要因が大きく
OECD(経済協力開発機構)は5月31日、世界経済見通しを改訂し、2021年の世界の実質経済成長率は5.8%、22年は4.4%と20年の-3.5%の落ち込みからV字型でリカバーする展望を示した。
各国の21年GDP見通しも軒並み上方修正、米国は昨年12月時点の3.2%から2段階で上方修正され6.9%になった。このなかで唯一日本だけは2.6%へと3月時点から下方修正され、22年の見通しも2.0%と、ユーロ圏(4.4%)、米国(3.6%)のほぼ半分の低成長と予想されている。
コロナ感染による健康被害は先進国のなかで突出して低い日本が、なぜこれほどの経済被害を受けるのか。日本の健康被害を米国と比べると、100万人あたり累積感染者数は米国10万人に対して日本では6,000人、累積死者数は米国1,800人に対して日本では104人といずれも米国の16分の1にすぎない。ワクチン接種が遅れているとはいえ、この極端な格差はただことではない。
東京大学の渡辺努教授は健康被害と経済被害の著しいギャップは、もっぱら感染に対する恐怖心による活動の抑制にあると分析している。ロックダウンなど政府による行動規制は日本が著しく緩いのであるから、原因は自粛に違いない。
日本人を心理抑圧する空気
日本人の自粛の背景にあるものは空気である。全体を覆う同調圧力、メディアの同質性と硬直性、異論を排除する志向などが合理的判断を歪めてきたことは、山本七平氏(『「空気」の研究』の著者)以降多くの人が指摘してきた日本の特質である。経済敗戦、コロナ敗戦、不運なオリンピック招致などが重なり、自虐を煽る世論形成で自信喪失を是とする空気が満ちている。
ワクチン接種の進展、東京オリンピック断固開催で空気は大きく好転する
しかし、日本の自信喪失も陰の極ではないか。先週末になり1日当たりワクチン接種が80万回に達し、首相が目標とする1日100万回接種が視野に入り始めた。土日をオフにするとして週500万回接種が可能となる。年末までの残り30週にこのペースで進展すれば、接種回数は1億5,000万回、成人2回接種率は75%に達し、ほぼ集団感染が成立、ポストコロナが視野に入る。心理的要因の負荷が日本においてとくに大きかったとすれば、それが取り除かれた後のリバウンドは大きくなるだろう。
また賛否が渦巻いている東京オリンピックも、ひとたび実施されれば選手のドラマが国民を感動させ、同調圧力は求心力を高める方向に作用するだろう。コロナ下で歯を食いしばって頑張る日本は世界に希望を与え、国民に達成感をもたらすだろう。逆にこの期におよんで中止すれば、国民の喪失感は大きく、挫折感を残すだろう。
(つづく)
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