国民の命を踏みにじる代償
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「主権者の意思を無視して菅首相が東京五輪開催を強行し、結果として深刻な事態を招けば、菅首相は責任を免れない」と訴えた6月7日付の記事を紹介する。
コロナ感染には波動がある。現在は第4波がピークを通過したタイミング。新規感染者数は減少に転じている。日本における感染波動を検証すると、第1波から第4波のピークは以下の通り。
第1波 2020年4月10日
第2波 20年8月7日
第3波 21年1月8日
第4波 21年5月12日第1波と第2波の山は低く、第3波と第4波の山は高い。第3波の山を高くした原因はGoToトラブル事業の全面推進。11月21日からの3連休の前にGoToを停止する必要があった。菅首相はGoToトラベルを12月28日までほぼ全面的に推進した。
第4波の山を高くした原因は変異株対応の甘さと行動抑止の不徹底。英国由来N501Y変異株は12月中旬に確認されていた。しかし、日本が検疫を強化したのは1月13日以降。菅首相が検疫強化を妨害した。
インド由来L452Rが確認されたのは3月。しかし、菅内閣の検疫強化は5月に入るまで実施されなかった。また、人流が再拡大するなか、3月21日で緊急事態宣言を解除した。
4月25日から緊急事態宣言再発出に追い込まれたが、首都圏では東京のみに発出。感染拡大地から全国各地への旅行を制限しなかった。その結果、第4波が拡大した。
感染のピークは4カ月ないし5カ月ごとに生じている。5月12日のピークの次のピークは9月ないし10月に到来することになるのか。
夏場よりも冬場の感染が拡大する傾向をもつとも考えられている。9月、10月のピークは抑制されたものになるか。新規陽性者数が減少することによって菅首相が勢いづくことが想定される。場合によっては、よもやの有観客開催に突き進む可能性もある。有観客開催とはGoTo再開を意味する。
全国から首都圏を中心とする地域に大きな人流が創作される。この人流は多人数会食機会をも創出する。菅内閣が実質的にGoToを再開することになる。最大リスクは大量の外国人が流入すること。人数を絞るというが千人の単位にまで圧縮するわけではない。5万人から8万人の外国人が入国する。選手の一部は自己手配ホテルに滞在する。メディア関係者に対する行動抑制が厳格に実施される見通しはない。
多数の日本国民が入国外国人と接触する。接触する日本国民はワクチン接種を受けていない者が大半になる。
世界から変異株が日本に持ち込まれる。第4波の感染拡大をもたらしたのはN501Y変異株。その後、インド由来L452R変異株、E484Q変異株が確認されている。日本人の免疫能力をすり抜けること、ワクチン効果が低下することなどが指摘されている。両者を併せもつハイブリッド変異株も出現している。ここに大量の外国人流入が重なる。
極めて深刻な感染拡大が発生する恐れは決して低くない。このリスクを踏まえて、圧倒的多数の国民が今夏の五輪開催強行に反対している。
主権者の意思を無視して菅首相が東京五輪開催を強行し、結果として深刻な事態を招けば、菅首相は責任を免れない。現在の政治日程を踏まえると衆院総選挙が実施される時期は9月または10月になるだろう。そのときに深刻な事態が広がっている可能性を否定できない。
菅首相はワクチンを「切り札」としている。しかし、ワクチンが「切り札」にならないとの指摘もある。コロナウイルスについて、あるいは、ワクチンについて、さまざまな情報が流布されているが、そのなかには、真実性が疑わしいものも多く含まれている。
たとえば、新型コロナウイルスが分離され、存在が証明されているのかという点についての疑義もある。しかし、現状では米国の疾病予防管理センター(CDC)が「(新型コロナウイルスが)実験室で分離され、科学および医学界による研究に利用できる」ことを公表している(https://bit.ly/2T77mXS)。情報が錯綜するなかで、真実の情報を獲得することは容易ではなくなっている。
このような状況下で、冷静な視点で説得力のある解説を提示されているのが新潟大学名誉教授岡田正彦氏。岡田氏は「新型コロナのエビデンス」と題するサイトに情報を提供されている。極めて有用な情報だ(https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/)。
すでに5月30日付ブログ、メルマガ記事「それでも賢明な人はワクチン打たない」(https://bit.ly/3z8daAQ)、「打つ前に知っておくべきワクチンの危険」に記述したが、岡田教授は新型コロナワクチンの危険性をわかりやすく解説されている。
日本の現状を踏まえる限り、国民全員にワクチンを接種することには合理性がない。ワクチン接種のメリットがリスクを大幅に上回るといえないからだ。逆にワクチン接種のリスクは、多くの人でメリットを大きく上回ると私は判断する。
厚労省が公表した数字だけでも、ワクチン接種を受けた601万人のうち、85人が接種後に死亡している。比率は0.0014%。これに対して、日本でコロナ死した人の数を全人口で除したコロナ死亡率は0.010%。コロナ死の確率はワクチン接種後死亡比率の7倍に過ぎない。木村太郎氏がテレビ番組で1,200倍の差があると発言したが、この発言は適正でない。
昨年12月31日に、ファイザー社製ワクチンの有効性が95%だと発表されて、ワクチンブームに火がついたが、この数値に対しても疑義があることを岡田氏が指摘する。
ワクチン接種した人々のなかに、コロナ感染の疑いがある人が多数存在したが、これらの人に対してPCR検査を実施していないということなのだ。この疑いがある人がコロナに感染していたとすると、有効性は19%に低下する。
米国の代表的専門学術誌である“The New England Journal of Medicine”に、アストラゼネカ社製ワクチンの有効性検証の論文が掲載されている(https://bit.ly/34Slnew)。
この実証研究は、アストラ社製ワクチンの南アフリカ変異株ウイルスへの有効性が10.4%にとどまることを示している。つまり、ワクチンが有効でないウイルスが出現する可能性が存在するといえる。
他方で、ワクチン接種のリスクは広範に存在する。ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)によるアレルギー反応、アナフィラキシーも重要なリスクだ。
岡田教授は、ワクチンが人の体内で産生させる抗体が、人の体内にある血小板の表面にある「糖鎖」を異物と間違って攻撃してしまうリスクがあると指摘する。そのために、脳出血などの出血をともなう病気を発症するリスクがあるという。
さらに、アルツハイマー病やパーキンソン病、関節リウマチなどの悪化、男性不妊、流産、認知症、心筋梗塞、高血圧、脳卒中、心筋症などが起こり得るとする研究者もいると指摘する。
ワクチンは決して切り札とはいえない。ワクチンの弊害は長い年月の経過を待たなければ明確にならない。未知数のリスクをともなう。
台湾、ニュージーランド、オーストラリアなどが取り組んできた「コロナ封じ込め」で対応し、感染症に対しては治療薬、特効薬で応じることが適正なコロナ対応であると判断される。
菅コロナ政策に対する評価は次の総選挙でなされるが、事態は菅氏にとって必ずしも好都合といえない。
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