【飲食事業者の独立心、自尊心を育てよ!(9)】 ピンチをチャンスに変える、「今だからこそできること」を~博多石焼大阪屋
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創業90年超、中洲の老舗料理店
博多・中洲にある「博多石焼 大阪屋」は、1926年創業の老舗料理店。創業者の西川清太郎氏が、当時はまだあまり知られていなかったアイスクリン(アイスクリーム)を食べてもらおうと、大阪から福岡に出てきて「味の大阪屋食堂」を開いたことが店名の由来となっている。
その後、大阪で「ハレの日の特別料理」として親しまれていたすき焼きの提供も開始。大正から昭和初期にかけて活躍した福岡出身の作家・夢野久作の著書のなかにも同店のものと思われるすき焼きが登場するほど、地元で愛される料理となった。
戦後の53年には1階を「食堂の大阪屋」、2階をすき焼き・水炊きの「大阪屋別館」として2階建てビルを改築した。そして80年に、現在の同店の名物料理である「博多石焼」を新メニューとして打ち出し、店名も『博多石焼 大阪屋』へと変更している。
ピンチをチャンスに
同店は緊急事態宣言にともない、5月12日から6月20日までの期間の休業を余儀なくされている。同店を経営する(株)博多石焼大阪屋の代表取締役・西川真太郎氏は「今は攻めに出る時期ではないと思います。今だからできることがあるはずです。当店の場合、休業期間中に従業員を対象にした『マナーアップセミナー』を週に1度開催しています。そのほかにも店舗の改修など休業中だからこそできることに取り組んでいます」と語る。
昨年5月下旬、同店は感染リスクを抑えるべくテーブル中央に透明のアクリル板を立てて、飛沫拡散対策を行うほか、テーブルの間隔も空けるなどの感染対策を講じた。当時、こうした取り組みを行った飲食店はまだ珍しく、テレビや新聞でも大きく報じられたという。
「一時はネット通販を始めることなども考えましたが、本業が疎かになる恐れがあると思い、手を出していません。創業者の西川清太郎のモットーは『商売と屏風は広げすぎると倒れる』で、私もまったく同じ考えです。先ほど申し上げました通り、今は耐える時期で、いわば『雌伏の時』なのです。力を蓄え、コロナという嵐が収まった後、また、多くのお客さまに御来店いただき、今まで以上の「おもてなし」を行いたい。ピンチをチャンスに変えるための時期だととらえています」(西川氏)。
昨年、中洲観光協会の理事長に
西川氏は昨年3月に中洲観光協会の理事長に就任した。「先輩たちを差し置いて、若造の私が理事長になるなど滅相もない」と、当初は就任を断っていたそうだが、「今の時期こそ、君のような若い力が必要だ」「この難局を任せられるのは君しかいないんだ」などといった周囲の声もあり、理事長を引き受けることになった。
西川氏は就任以降、同協会ホームページのリニューアル、行政の支援に先駆けて見舞金の支給、持続化給付金、家賃支援についての無料説明会実施、中洲料飲組合と共同で中洲の清掃活動を行うなど、精力的な活動を行っている。
「これまでの中洲はある意味『アナログ』でしたが、理事長就任を機にSNSなどを活用した情報発信を積極的に行い、会員間の情報共有を密にするようにしています。コロナ収束後に中洲を訪れた人たちから『やっぱり、中洲はよかねえ』と言ってもらえるようにしていきたいですね」と今後の抱負について語った。
<RESTAURANT INFORMATION>
博多石焼大阪屋
所在地:福岡市博多区中洲5-3-16
TEL:092-231-6331
FAX:092-271-5583
URL:http://www.osakaya-15.com【新貝 竜也】
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